2019年1月20日(日)

物価伸び悩み、説明に苦慮 日銀が見通し下げ

2015/1/22付
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日銀が掲げてきた物価上昇率2%という政策目標の実現に時間がかかっている。21日の金融政策決定会合では、2015年度の物価見通しを前年比1.0%に大きく下方修正した。急激な原油安が要因だが、円安・株高につながってきた黒田東彦総裁への市場の期待が揺らぐリスクもある。

記者会見する日銀の黒田総裁(21日、日銀本店)

「原油安によって15年度にかけて物価上昇率は下振れする」

日銀は黒田総裁の就任直後の13年4月に「物価上昇率2%を2年程度で達成する」と強調して大規模な金融緩和に踏み切った。その期限となる15年度の物価見通しを、昨年10月時点の1.7%から大幅に引き下げた。

原因は急激な原油安だ。原油価格は半年で約5割も下落した。消費者物価指数も昨年4月には1.5%まで上昇していたが、直近の昨年11月は0.7%だ。今年4月にはゼロ近辺まで伸び率が低下するとの見方もある。

昨年10月末も原油安で物価見通しを下げたが、その際は国債の購入量を年30兆円増やすなど電撃的な追加緩和に踏み切った。黒田総裁は物価が下振れすれば「ちゅうちょなく緩和する」と繰り返してきたためだ。

需給ギャップや期待インフレに変化はない。デフレ心理の転換が着実に進んでいる」

総裁は今回緩和を見送った理由についてそう主張した。日銀の調査では、企業の物価予測は3~5年後も2%程度の上昇率を見込む。春季労使交渉で賃上げが見込まれ、企業や消費者は引き続き物価が上昇するとみていると日銀は踏んでいる。

もっともわずか3カ月で総裁の説明は二転三転したようにも見える。「4月に国債の買い入れ量を増やす」(SMBC日興証券)などと、いずれ追加緩和に踏み切るとの見方もくすぶる。

「15年度中と言っていない。はみ出ることもある」

黒田総裁は2%の物価上昇率目標の達成時期が後ずれすることを容認する姿勢もみせ、緩和観測をけん制してみせた。目標時期については「ある程度幅がある」と述べ、原油安が止まらなければ、16年度以降に達成がずれ込むことを示唆した。

日銀が追加緩和に慎重なのは、さらに長期国債などの買い入れ量を増やしても原油安には効果がないためだ。長期金利の急低下や円安の行き過ぎなど、市場は大規模緩和の副作用も懸念しており、日銀も度重なる追加緩和には慎重にならざるをえない面があるようだ。

黒田総裁は13年の就任以降、市場の想定を上回る大規模緩和を2度仕掛けて、デフレ脱却への期待を高めてきた。物価目標が後ずれして後手に回れば、企業や消費者が持つ物価上昇観測もしぼみかねない。急激な原油安は3年目に入る「黒田日銀」の試練といえる。

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