日銀、景気判断なお強気 物価は「1%割れも」
黒田総裁、重ねて財政再建促す

2014/11/20付
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日銀の黒田東彦総裁は19日の金融政策決定会合後に記者会見し、景気は「緩やかに回復」という基調判断を維持した。4月の消費増税後、成長率は2四半期続けてマイナスとなったものの、雇用や企業収益の改善は進んでいると強調した。黒田総裁が求めた来年10月の再増税は先送りとなったが「財政再建を政府に期待している」と4回も繰り返し、安倍晋三政権をやんわりとけん制してみせた。

 「消費や住宅投資に弱さがあり、在庫調整の動きも続いた」

記者会見する日銀の黒田総裁(19日、日銀本店)

記者会見する日銀の黒田総裁(19日、日銀本店)

17日に内閣府が発表した7~9月の実質国内総生産(GDP)はマイナス成長となった。日銀は増税後に内外需が緩やかに持ち直して7~9月は高めの成長になるとみていただけに、2期連続のマイナス成長は想定外だ。黒田総裁は(1)消費増税の駆け込み需要の反動(2)天候不順(3)企業の在庫調整――を理由としたが、会見で深みのある分析に言及するのは避けた。

その上で「経済の前向き循環は維持されている」と強調し、景気判断も据え置いた。失業率は3%台半ばに下がり、賃金も増えている。企業収益は大企業を中心に好調で、設備投資も先行きは回復するとみるからだ。

 「原油のみならず1次産品価格が下落しており、物価上昇率が1%を割ることもありうる」

トーンが変わったのは物価見通しだ。日銀は今年度の後半から物価が再び上昇するシナリオを描き、7月の記者会見では「物価上昇率が1%を割ることはない」と言い切っていた。だが上昇率は原油安によって縮小しており、黒田総裁は今回の会見で「1%を割る可能性を含めて1%程度が当面続くだろう」とシナリオを修正した。

10月31日の追加緩和によって「内需へのプラスの影響は明らかに出てきている」(黒田総裁)。物価や景気の下振れリスクはあるが「(金融緩和の)拡大を決めたこともあって、デフレ心理の転換は着実に進んでいく」とも述べ、物価上昇率は来年度にも2%程度に達するとのシナリオをかろうじて維持した。

 「ふっふっふ、追加緩和はあくまで2%の物価目標の実現を確実にするためにやったので」

記者会見で黒田総裁が苦笑いする場面があった。安倍首相が18日に消費再増税の先送りを表明し、記者から「追加緩和も先送りすればよかったと後悔していないか」と問われたためだ。日銀は10月末に電撃的な追加緩和に踏み切ったが、市場関係者らには「消費再増税による景気下振れリスクを先取りしたもの」との見方もあった。

旧大蔵省出身の黒田総裁は財政再建論者の一人。会見では財政再建の重要性を散々問われ、「(再増税は)政府・国会で判断されるもの」と言いつつも「財政の信認をしっかり確保することが重要だ」と力説した。その上で会見中に「持続可能な財政構造の確立を政府に期待している」と実に4回も繰り返した。

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