中銀仮想通貨、匿名性・決済コスト課題 BIS報告

2017/9/18 1:00
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 【ロンドン=黄田和宏】国際決済銀行(BIS)は17日、中央銀行が発行を検討する仮想通貨の研究の現状と課題をまとめた。大口取引に限定した金融機関向けと、誰でも利用できる小口の一般向けの2つの仮想通貨が必要になる可能性があると説明。実用化に向けては金融機関向けには決済コストの改善が課題となり、一般向けは金融機関への影響などを考慮すべきだと指摘した。

 ビットコインなどの仮想通貨の利用が急速に拡大する中で、中銀も役割を問われている。このためBISは同日発表の四半期報告で取り上げた。中銀の発行する仮想通貨は「CBCC(中央銀行暗号通貨)」と名付けた。

 金融機関向けでは中銀を通じた大口決済をブロックチェーンの技術を用いる手法に置き換えることが検討されている。決済効率の改善が課題だ。一般向けはビットコインなどに特有の急激な価格変動をなくすことができるが、個人が銀行預金をCBCCに容易に転換できるようになれば、民間金融機関の経営が成り立たなくなるおそれもある。

 BISはビットコインなどが国家の通貨を置き換えることは考えにくいとする一方、「ブロックチェーンの実用性を証明した」と分析。調査責任者のヒュン・ソン・シン氏は「技術革新がマネーの本質や金融システムの構造に関する根本的な問題を提起した」としている。

 BISによると、一般向けのCBCCとしてはブロガーのJPコーニング氏が提唱する「Fedコイン」が代表例だ。米連邦準備理事会(FRB)が現金と交換できる独自の暗号通貨を発行するというものだ。BISは一般向けCBCCの利点として、ビットコインなどの暗号通貨に特有の急激な価格変動をなくすことができると説明する。ビットコインは発行主体が民間という点以外は、一般向けのCBCCと同じ特徴を備えている。

 導入にあたっては、中銀は現金のやり取りと同様、暗号通貨でも取引の匿名性を確保するかどうかを決める必要がある。匿名性の要求が強くない場合は、取引を中銀に集約することで個人が中銀に口座を持つことも理論上は可能だ。

 金融機関向けのCBCCでは、中銀を通じた大口決済をブロックチェーンの技術を用いる手法に置き換えることが検討されている。カナダ中銀の「CADコイン」などの研究がある。現行の即時グロス決済(RTGS)よりも決済の効率やコストが改善するかどうかが課題だ。もっとも、各国中銀とも現時点では採用するには時期尚早と判断している。

 世界の中銀の取り組みには温度差もある。現金流通の急減するスウェーデンは「eクローナ」の導入を検討中で、来年末までに是非を判断する。一方、欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁は、ユーロ圏のエストニアが独自に仮想通貨の発行を検討していることについて、「いかなる加盟国も独自通貨は導入できない」とくぎを刺している。

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