2019年9月23日(月)

日銀強気、消えぬリスク 物価2%上昇へ正念場

2015/7/16付
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不安定な海外経済が国内の景気や物価のリスクになりつつある。日銀は15日開いた金融政策決定会合で、2015年度以降の成長率と物価上昇率の見通しを小幅に下方修正した。黒田東彦総裁は会合後の記者会見で「(物価は)おおむね見通しに沿った動き」だと強調したが、海外経済のもたつきが続けば日銀が目指す2%の物価上昇にも黄信号がともりかねない。

「4~6月の成長率は(1~3月と比べると)かなり低下する可能性がある」

黒田総裁は米国や中国などの回復の鈍さが、国内の生産や輸出の落ち込みにつながっているとの認識を示した。日銀は15年度の成長率見通しを4月時点の2.0%から1.7%に下方修正。景気判断でも、輸出や生産の持ち直しが「振れを伴いつつ」あると記した。

ただ、日銀は今のところ生産や輸出の落ち込みは一時的とみている。国内の輸出や生産に影響が大きい米国経済はこのところ回復基調を強めており「先進国を中心に世界経済全体が回復する」とのシナリオは崩れていないとの判断がある。

企業はようやく設備投資を増やし始め、個人消費も底堅い。「前向きな循環メカニズムはしっかりと作用し続けている」と判断して、16、17年度の成長率は4月時点の予想のまま据え置いた。

「16年度の前半ごろに(物価上昇率は)2%程度に達する可能性が高い」

消費者物価上昇率の2%達成についても日銀は強気だ。15~17年度の物価上昇率の見通しは4月時点よりもそれぞれ0.1ポイントずつ下げたが「その数字に非常に大きな意味を持たせる必要はない」と黒田総裁は説明した。物価は想定通りの動きだと主張し、金融政策でも8対1の賛成多数で現状の金融緩和を維持した。

日銀は原油安の影響が薄れる今秋以降に物価が力強く上昇していく絵を描いている。市場では大幅な物価上昇に懐疑的な見方もあるが「秋に物価が上がり始めれば風景は一変する。2%実現に向けて今が正念場」(幹部)とみている。

「今後とも中国経済の動向については注意深く見ていきたい」

日銀シナリオの最大のリスクは中国経済だ。中国当局が財政と金融の両面で景気下支えに動いており「成長ペースを幾分切り下げながらもおおむね安定した成長経路をたどる」と日銀は期待している。ただ「米国経済に次ぐ大きな経済で、特にアジア経済に対する影響は大きい」だけに、仮に中国経済が失速すれば、国内の景気や物価も下振れは避けられない。

黒田総裁は急落した中国株について「引き続き注視していきたい」と語った。不動産価格に続き、株価まで下落基調が鮮明になれば、中国の消費などに悪影響が広がりかねない。日銀は影響の大きさを見極めようと警戒を強めている。

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