独大使「労働市場改革で経済成功」 シンポで討論
働き方改革を議論するシンポジウム「働く力再興」(主催・日本経済新聞社)が13日午後、東京・大手町で開かれ、ドイツとフランスの駐日大使が独仏両国の進める雇用改革について討論した。フランスのティエリー・ダナ大使は「雇用の柔軟性を高める」ことの重要性を強調した。ドイツのハンス・カール・フォン・ヴェアテルン大使は「労働市場の改革がドイツ経済の成功につながり、今後も改革は続ける」と述べた。
労働者の権利を手厚く保護してきたフランスでは今年夏、解雇規制の緩和と労働時間の延長を柱とした改正労働法が成立した。ダナ氏は「硬直した労働市場は生産性を下げる」と指摘。規制緩和で解雇しやすくする一方、職業訓練を手厚くするなどバランスの必要性を説いた。改革に反対の声はあったが「強い危機感を持って政府が方針を曲げなかった」と強調した。
ドイツは2000年代初頭に労働改革に踏み切った。雇用規制を緩和し、失業手当の受給期間を抑制するなど痛みを伴ったが、同時に正規労働者と非正規労働者の垣根を低くして雇用の流動性を高めた。結果として失業率は下がり、ドイツ経済復活の下地になったという。ヴェアテルン氏は「労働市場改革は生産性改革につながる」とし、ドイツが取り組むデジタル技術を駆使した産業革命「インダストリー4.0」も柔軟な労働市場が支えになっている、と述べた。