法人税「実質減」目指す 経産相、外形標準拡大分含め
宮沢洋一経済産業相は11日の閣議後記者会見で、政府が成長戦略の一環として検討している法人税の実効税率引き下げについて、赤字企業を含む外形標準課税などの拡大に伴う増税分を上回る「ネット減税」を目指す方針を示した。「経済界はそういうことを希望している。今後のプロセスで希望通りいってほしい」と話した。
経産相は10日の経団連との会合で2015年度に2.5%以上の法人税率の引き下げ幅を目指すと発言した。閣議後会見ではこの発言について「数年間で20%台を目指すわけだから、来年度で、それなりの姿を経産大臣として示すことが大事だと思う」と説明した。
外形標準課税については「中小企業(への適用)は今回はあまり議論にならないと思うが、問題がいくつかある。色々知恵を出していかないといけない」と述べた。産業界への影響を精査したうえできめ細かく制度設計する必要があるとの認識を示したものだ。
一方、麻生太郎財務相は11日の閣議後会見で、経産相が10日に法人税率引き下げの財源として外形標準課税の拡大や欠損金の繰越控除の縮小などが必要との考えを示したことについて「経済界に改革への協力を要請したということで、方向性としては共有できる」と語った。
経産相が15年度に2.5%以上の法人税率の引き下げ幅を目指す意向を示したことに対しては「財源の状況を見極めながら今後検討していくものであって、現時点で2%、3%といえる段階にはない」と述べた。
日本の法人税の実効税率は約35%と国際的に高く、政府は6月の成長戦略で15年度から数年で20%台に引き下げる方針を示している。