景気回復 地方にも 日銀、6地域で「拡大」

2017/7/10 21:39
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景気回復がようやく地方にも波及してきた。日銀は10日公表した7月の地域経済報告(さくらリポート)で全国9地域のうち過去最多となる6地域で景気を「拡大」と判断。街角景気を映す内閣府の景気ウオッチャー調査も判断指数が半年ぶりに好不況の境目を示す50まで上昇した。物価上昇にはつながっていないが、個人消費の改善で経済の足腰は強まりつつある。

日銀は北海道など5地域で景気判断を引き上げた。そのうち関東甲信越、近畿、中国、九州・沖縄の4地域では景気を「拡大」と表現。東海と北陸はすでに「拡大」としており、リポートの前身調査が始まった1998年1月以降で初めて全国の半数を超える地域で判断が「拡大」になった。

輸出主導の景気回復局面では中部など自動車産業の集積する地域の回復が突出するが、足元では個人消費に明るさが出ているため、回復地域が広がった。「自動車、家電、外食はこれまでも堅調だったが、百貨店販売も富裕層向けなどが伸びている」(衛藤公洋・大阪支店長)。九州・沖縄など訪日外国人(インバウンド)による消費の押し上げを指摘する声も多い。

個人消費を支えるのが景況感の回復だ。内閣府が10日発表した6月の景気ウオッチャー調査によると、現状を示す指数(季節調整値)は50.0と、前月より1.4ポイント改善した。改善は3カ月連続で、昨年12月以来、半年ぶりに景況感の分かれ目となる50に乗せた。

家計・企業・雇用の全ての分野で前月を上回った。企業動向では好調な受注を背景に製造業、非製造業ともに前月比1.1ポイント上昇。「地元大手の設備投資によって発注が増加した」(四国の建設業)などの声が出ている。

2~3カ月後の先行き判断指数も50.5ポイントと、前月から0.9ポイント上昇した。消費面では現状で悪化した飲食とサービス関連も回復を見込む。レストランやレジャーはいずれも予約が好調だという。内閣府は「需要の持ち上がりに期待が高まり、先行きが明るくなっている」と分析している。

日銀にも「世界経済の追い風を3カ月前よりも強く感じている。次世代の自動車など長期的な視野に立った投資が行われている」(内田真一・名古屋支店長)との声がある。

ただ、人手不足が深刻度を増しているのに物価はなかなか上昇しない。小高咲・札幌支店長は10日の記者会見で企業が製品やサービスの値上げに慎重な原因について「(値上げより)セルフレジの導入など(人件費の)コストを抑える動きがまだしばらく続きそう」と分析した。過疎地の人口減少など地域ごとのばらつきを指摘する声も目立った。

日銀の松本順丈・福岡支店長は九州北部で被害を出した豪雨に言及し「夏休みシーズンを控えており、鉄道が通る橋梁の寸断など復旧が遅れると観光には影響が出てくる懸念がある」と指摘した。

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