銀行の不良債権が10兆円下回る 3月末、99年以降で初
金融庁が7日発表した2015年3月末時点の全国115銀行の不良債権残高は前年同月より1兆780億円少ない9兆1430億円となった。同じ基準で比較が可能な1999年以降で3月末時点として初めて10兆円を割り込んだ。
景気の回復に伴い、多くの銀行で貸出先企業の経営が安定したことが寄与した。融資などに占める不良債権比率も15年3月末は1.6%と前年より0.3ポイント低下した。主要行は1.1%、地銀は2.4%だった。
不良債権はバブル経済崩壊後に増え始め、2002年3月末には43兆円台に膨れあがった。不良債権処理を優先する銀行が企業への融資を絞った結果、日本経済への打撃が広がった。金融危機と景気の失速、デフレという悪い連鎖が広がった。
この間、13行あった都市銀行体制も大手5行に収束された。
その後の世界経済拡大による景気回復もあり、05年3月末には不良債権が約18兆円に縮小。07年3月末からは12兆円前後で推移していた。
不良債権問題が片付いたことで、銀行の資産査定を中心とした金融行政も転換点を迎えた。金融庁は銀行が中小企業やベンチャー企業の成長を後押しできているかどうかに検査のポイントを移している。