16年の実質賃金5年ぶり増 プラス0.7%、物価下落が影響

2017/2/6 9:00 (2017/2/6 11:18更新)
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 厚生労働省が6日発表した2016年の毎月勤労統計調査(速報値)によると、物価変動の影響を除いた16年通年の実質賃金は前年から0.7%増えた。5年ぶりのプラスとなる。名目賃金にあたる現金給与総額が0.5%増と3年連続で増え、原油安や円高で物価が下がった要因も寄与した。ただ12月は原油高などで実質賃金が前年同月より0.4%減っており、先行きは不透明だ。

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 消費者物価指数(持ち家の帰属家賃を除く総合)が前年に比べ0.2%下落し、実質賃金の伸びが名目賃金を上回った。デフレ局面に特徴的な「名実逆転」も11年以来、5年ぶりとなる。16年の現金給与総額は月平均で31万5372円だった。内訳をみると基本給や特別給与が前年を上回った。

 基本給を示す所定内給与は前年比0.2%増の24万267円だった。フルタイムで働く労働者の基本給は0.6%増で、前年を上回る増加幅だった。

 残業代にあたる所定外給与は0.6%減り、1万9468円だった。16年は夏のボーナスが増え、特別に支払われた給与が5万5637円と前年比2.0%増加した。

 少子高齢化で働ける年齢の人が減り、企業は人手不足に陥っている。求職者1人当たりにどれだけの求人があるかを示す有効求人倍率は16年に1.36倍と1を大きく上回っており、1990年前後の水準になっている。従業員をつなぎとめるため、企業は待遇の改善に動いており、一時金の大幅増で対応した。

 厚労省は「賃金動向は基調としてゆるやかに増加している」との見解だが、先行きは不透明との見方も多い。SMBC日興証券の宮前耕也シニアエコノミストは「政府が推し進める働き方改革には賃金にプラスの要因とマイナスの要因どちらもある」と指摘する。

 17年の春季労使交渉はデフレ脱却に向けて政府が経営側に賃上げを要請する「官製春闘」の色彩が濃い。基本給を上げるベースアップやボーナスなどの一時金は増加するとみられる。ただ働き方改革では長時間労働の是正も求められている。残業代は減少するとみられ、賃金全体の押し下げ要因になり得る。

 足元では原油高や円安で物価に上昇の兆しがみられ、実質で見た賃金に下押し圧力がかかっている。12月の名目賃金は前年同月比0.1%増とほぼ横ばいで、同0.4%上昇の物価の伸びに追いついていない。実質賃金の力強い回復がなければ、消費を起点として生産増→所得増→支出増→生産増→……と巡る自律的な景気拡大の展望も描きにくい。

過去の統計データがご覧いただけます。

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