待機児童、2年連続増 「ゼロ」目標かすむ

2016/9/2 22:38
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 厚生労働省が2日公表した4月1日時点の全国の待機児童数は2万3553人と2年連続で増え、2017年度末までに待機児童をゼロにする政府目標の実現の難しさを示した。「隠れ待機児童」も約6万7000人おり、合計は9万人を超す。女性の労働参加が進まなければ日本経済の供給制約も強まりかねず、厚労省は17年度予算で追加的な対策を打ち出す。

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 保育の受け皿は前年比9万5千人増え、約272万人となった。一方、保育所への申込者は前年比8万7千人増え約256万人だった。保育の受け皿は申込者を上回るペースで増えたが、需要が多い大都市圏で整備が遅れる「ミスマッチ」から待機児童が増えた。

 「共働き世帯の増加で、入園希望者が増えた」。16年4月時点の待機児童が514人だった千葉県市川市は、前年に比べ141人増えた原因をこう分析した。15年度には保育所を11カ所設け、定員を568人増やした。0~5歳児の数が2万4000人台でここ数年変わらないにもかかわらず、待機児童数は逃げ水のように増えている。

 これに拍車をかけているのが、深刻な保育士不足だ。保育サービス最大手のJPホールディングスは16年度に新設する施設を前年より3カ所減らし、13カ所にとどめた。17年度はさらに減らす予定だ。「保育の現場を担う保育士の採用が難しくなっている」(同社)ためだという。

 自治体も保育人材が集まらなければ施設をつくっても定員を増やせない。政府は人材確保策として保育士の月給を2%程度引き上げる方針だが、一般産業界の平均より低い状況は変わらない。

 「待機児童」の定義が自治体によってばらつきがあるのも課題だ。

 岡山市は4月時点の待機児童数が729人となり前年の約5倍に膨らんだ。これまでは自宅から車で30分未満の距離に保育施設があるのに利用しない場合、待機児童には数えていなかった。

 ただ現実には保育園が職場から離れているなど利用しづらいケースも多い。このため「市民生活の実態とかけ離れている」(大森雅夫市長)として、第3希望までに入園できなかった子どもを「待機児童」とするルールに改めた。基準の変更で、待機児童数が大きく変動する自治体は多い。

 厚労省は自治体が補助する認可外保育所に入っている児童や、保育所に入れず育児休業を延長したケースなどを数えた隠れ待機児童が6万7354人いると公表した。2万3553人と合わせ、9万人を超す需要が満たされていない計算だ。厚労省は定義を統一する方針で、待機児童数はさらに膨らむ公算が大きい。

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