2018年4月25日(水)

国債格下げ、増税先送りに警鐘 金利への影響「限定的」

2014/12/2付
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 米格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスの日本国債格下げは、消費再増税を先送りして衆院選に突入する政府や与野党への一定の警鐘となる。金融市場は日銀が大規模緩和で大量に長期国債を買い入れているため「格下げが与える影響は限定的」との見方が強い。ただ1日の外国為替市場で円相場が一時的に乱高下するなど市場の懸念は消えていない。

 「消費再増税の先送りは(格下げを決めた)第1の重要なポイントだ」。ムーディーズで日本国債を担当するトーマス・バーン氏は1日夜の記者会見でこう認めた。

 ムーディーズが格下げ理由の筆頭に挙げたのは、日本が掲げる財政健全化目標が達成できるか不透明なことだ。政府債務は1000兆円を超え、主要国で最悪の水準だ。政府は基礎的財政収支(プライマリーバランス)の赤字幅を15年度に半減し、20年度に黒字化する目標を示してきたが、その達成手段としてきた消費再増税を先送りして道筋が揺らいだ。

 市場に浮かぶ財政悪化懸念を和らげるため、安倍晋三首相は消費再増税を先送りしても、1年半後の2017年4月には増税を着実に実施すると宣言する。ただ「一度、先送りした増税を次こそは先送りしないと100パーセント信じるのは難しい」と市場関係者には疑念が残る。

 そのため格下げが伝わった1日夕、外国為替市場では円が対ドルで1円近く乱高下した。まずは「国債売り・円売り」で動いて一時1ドル=119円15銭と同日の円相場の安値を更新。その後は一転して円が大きく買い戻され、118円台前半に戻った。

 同日夕の大阪取引所では日経平均先物の12月物が、夜間取引で1万7400円近辺まで下落した。海外投資家がリスクのある運用を避けるため、ひとまず円売り・株買いの取引を手じまいしたことが乱高下につながったようだ。

 もっとも財政悪化懸念によって、国債が大量に売られて長期金利が急騰するようなシナリオを市場は描いていない。日本国債は日銀が大規模緩和で大量に買い支えているため「海外勢が日本国債を嫌がって売る可能性があるものの、市場の大半を握る国内投資家が買い支える」(野村証券の松沢中チーフ金利ストラテジスト)という。三菱UFJモルガン・スタンレー証券の植野大作チーフ為替ストラテジストも「すぐに悪い金利上昇につながらない」と話す。

 市場には財政リスクへの警戒を映す指標もある。日本国債の信用力に基づいて取引されるクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)。破綻リスクが市場に浮かべば保証料率が上がる仕組みだが、9月には0.3%台と低水準だったものの、消費増税先送りで11月末には0.6%目前まで上昇している。こうした市場の財政懸念は、国内市場だけをみると日銀の大規模緩和によってかき消されている格好だ。

 財政当局も表立っては静観を保っている。財務省は「民間の格付けの内容に逐一コメントするのは差し控える」(広報担当者)とした。ある幹部は「国債の大半を国内で消化する現状では問題になりにくい」と指摘。別の幹部は「財政当局として謙虚に受け止める」と語った。

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