集団的自衛権行使へ転換 安保法案が衆院通過
今国会で成立確実に

2015/7/17付
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今国会最大の焦点である安全保障関連法案は16日の衆院本会議で、自民、公明両党などの賛成多数で可決され、衆院を通過した。9月27日までの会期内成立が確実になった。集団的自衛権の行使を認める内容で、戦後の安保政策は大きな転換点を迎えた。衆院での審議継続を訴えていた民主党など野党は採決に反発し、与野党の対立は激しさを増している。

16日、野党議員が退席する中、安全保障関連法案を可決した衆院本会議

16日、野党議員が退席する中、安全保障関連法案を可決した衆院本会議

憲法の規定により、参院が衆院から送付された法案を60日たっても議決しない場合、否決したとみなして衆院で3分の2以上の賛成で再可決して成立できる。安保法案が16日に衆院を通過したため、9月14日からこの規定を適用できる。

安保法案は自衛隊法や武力攻撃事態法など改正10法案を束ねた「平和安全法制整備法案」と、他国軍の後方支援を随時可能にする新法「国際平和支援法案」の2本立て。日本の平和と安全に影響を与える事態に切れ目なく対応するとともに、日米同盟を強化する狙いがある。

集団的自衛権は自国が直接攻撃を受けていなくても、他国が攻撃を受けた場合に反撃する権利。「国際法上、権利を保有しているが、行使できない」としてきた憲法解釈を昨年7月に変えて行使を認めたのに続き、実際に行使できる法律を整えることになる。自衛隊は未知の領域に踏み出す。

周辺事態法に基づいて他国軍への後方支援を認める活動範囲も、これまで米軍だけを対象に「日本周辺」という事実上の地理的制約を設けてきたが、日本の平和と安全に重大な影響を与える事態とみなせば、地域を問わず米軍以外にも後方支援できるようになる。

安倍晋三首相は安保法案の衆院通過を受け、首相官邸で記者団に「日本を取り巻く安保環境は厳しさを増している。国民の命を守り、戦争を未然に防ぐために絶対に必要な法案だ」と強調。「国民の理解が深まっていくよう(自民)党を挙げて努力したい。丁寧な説明に力を入れたい」と語った。

民主党の岡田克也代表は参院議員会館前での集会で「審議すればするほど新たな問題が出てきた」と指摘。「今回の採決は追い込まれての強行だ。憲法違反の法案を廃案に追い込もう」と呼びかけた。採決に反発する野党は17日以降のすべての国会審議に応じない構えだ。

与野党の論戦の舞台は参院に移る。与党は参院でも特別委員会を設けて、野党各党に審議促進を呼びかける方針だが、参院の審議入りのメドは立っていない。

5月26日に衆院平和安全法制特別委員会で始まった安保法案の審議は約116時間に達した。首相は維新との修正協議も模索したが実現せず、対米公約でもある安保法案の今国会成立へ強硬姿勢に傾いた。首相が認めるように安保法案に国民の理解が得られておらず、首相側は内閣支持率の低下につながる可能性があるとみている。

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