慰安婦「強制連行確認できず」 日本、国連委員会で
【ジュネーブ=原克彦】国連の女性差別撤廃委員会は16日、女性差別撤廃条約の対日審査会合を開いた。出席した外務省の杉山晋輔外務審議官は旧日本軍の従軍慰安婦に関する質問に「日本政府が発見した資料では軍や官憲による強制連行を確認できるものはなかった」と答えた。また「歴史を否定しているとか、何の対応もしていないというのは事実に反する」と強調した。
杉山審議官は2015年12月の日韓合意について「両国が合意の内容を誠実に実行に移すべく取り組んでいる」と説明し、「国際社会に理解いただけるとありがたい」と訴えた。中国など他の国への対応は「個人の請求権も含め法的に解決済み、というのが日本政府の見解」と従来の主張を繰り返した。
審査会合は女性差別撤廃条約の履行状況を確認するのが目的。委員会は昨年、日本政府に対する質問状の中で「慰安婦の強制連行はなかった」とする意見についての政府見解を求めた。政府は審査会合の前に文書で強制連行の事実は確認できなかったと回答しており、16日の会合でのやりとりが注目されていた。