2019年5月27日(月)

三井物産、脱・順送り人事で成長託す 社長に安永氏

2015/1/20付
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三井物産が異例の抜てき人事に踏み切った。20日決めたトップ人事で後任社長の座を射止めたのは54歳の安永竜夫執行役員。序列が上の役員32人を飛び越し、同社が現在の形になってからでは最年少の社長となる。飯島彰己社長(64)は得意の資源・エネルギー事業で吹く逆風を跳ね返して成長を遂げるには、順送り人事と本流意識の打破が必要と判断したようだ。

「変化の激しい時代に取締役の中からリーダーを選ぶのは難しい」。同日、東京・丸の内の本社で開いた記者会見で飯島社長はそう語った。現在、副社長以下の取締役は7人。最年少は57歳だ。自らは58歳で社長に就いたが「体力と気力がきつくなってきた」。だから6年後でも元気に飛び回れる人材を選んだ。

三井物産は昨年、取締役ではない執行役員からでも社長を選べるように定款を変更し、布石を打っていた。しかし社内外は極端な若返りはないだろうという見方が大勢。実際、飯島氏も「(後任が)若いと、自分流の体制をつくるまで時間がかかる」と語っていた。

それだけに今回の社長人事が社内外に与えた衝撃は大きい。かつて三井物産では米国三井物産社長や経営企画担当役員を経験することが社長の登竜門とされた。安永氏は経営企画部長には就いたものの経験が浅い。

飯島氏も悩んだようだ。「1年前に10人の後継候補を選び、昨年末時点で絞り込んだのは7人だった」と明かす。社内外で本命視されていた取締役も含まれていた。飯島氏が安永氏に伝えたのは1月15日だった。

飯島氏が安永氏を選んだもう一つの理由は多くの分野で積んだ経験。プラント事業を長く歩み、世界中を飛び回った。世界銀行と東洋エンジニアリングへの出向を経験。直近2年は機械・輸送システム本部長として、ブラジルとモザンビークの貨物・旅客鉄道への出資を次々とまとめた。安永氏は「変化が激しい時代は機敏に対応することが大事。若さを武器に新しい事業に挑戦したい」と語る。この気概が飯島氏の期待していたものだ。

三井物産は鉄鉱石や原油・ガス事業など資源部門が収益の7割前後を稼ぎ出す。一方で繊維や食品など非資源は弱い。飯島氏は「三井物産は弱い分野をどう強くするかが課題」と強調する。必要なのは行動力。飯島氏は、従来路線に安住する姿勢を改めるのに、行動力のあるリーダーに委ねる必要があると判断した。

今回の人事で情報漏れを防ぐため、飯島氏は直前まで取締役には日程を知らせなかった。「32人抜き」となれば現役役員やOBから予想される反発を封じ込める狙いがあったと見る向きがある。

年次の秩序が乱れたことで、社内の人事力学は変わる。飯島氏は院政を敷きやすくなるとの声もある。そうした懸念を跳ね返し、若返りの活力をどれだけ事業創造につなげられるか。商社で最年少リーダーの手腕に関係者は目をこらしている。

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