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中国、スー・チー氏熱烈歓迎 トップ2が会談

【北京=山田周平、ヤンゴン=松井基一】中国の習近平国家主席は19日、ミャンマーのアウン・サン・スー・チー国家顧問兼外相と会談し、経済協力を軸に関係を強化することを確認した。政権ナンバー2の李克強首相も18日に会談しており、3月のミャンマー新政権発足後、東南アジア諸国連合(ASEAN)域外の初の訪問先に中国を選んだスー・チー氏を異例の厚遇で迎えた。

北京の釣魚台迎賓館で、会談前に握手するアウン・サン・スー・チー国家顧問兼外相(左)と習近平国家主席(19日)=共同

ミャンマーは2011年春の民政移管で発足したテイン・セイン前政権が軍政時代の中国依存を修正し、欧米に接近していた。中国は米国に先駆けてスー・チー氏を招き、南シナ海を巡る紛争などで後手に回った周辺外交で巻き返しを狙う。

習氏は19日、北京でスー・チー氏と会談。中国が主導する陸と海の現代版シルクロード構想「一帯一路」で両国が協力することで一致した。スー・チー氏は21日までの滞在中、習氏の本籍地である陝西省やミャンマーと隣接する雲南省を訪れる予定だ。

18日には李首相が、中国企業がミャンマー北部ミッソンで着工したものの、11年に前政権の方針で工事が凍結された水力発電所の建設再開を要請した。政治関連では、ミャンマー政府と中国国境を拠点とする少数民族武装勢力の和平協議を支持すると表明していた。

共産党機関紙・人民日報系の環球時報は19日、スー・チー氏の訪中を「国家元首の待遇」との見出しとともに1面トップで報じた。「政治の風雨は去った。ミッソン水力発電所の建設再開を期待する」と題した社説も載せ、関係回復に期待を寄せた。

中国はミャンマーを自陣に取り込めば、波乱含みの南シナ海を経由せずにインド洋に進出でき、海のシルクロード整備を進めやすい利点がある。アジア新興国のライバルであるインドをけん制する意味でも重要だ。

一方、スー・チー氏が中国訪問を優先した背景には、ミャンマー経済が中国の支援なしに立ちゆかない現実がある。

ミャンマーにとって中国は最大の貿易相手国。国別の投資額(1988年以降の累計)でも全体の3割弱を占めトップ。軍政時代の孤立で国内インフラ整備も停滞したミャンマーにとって外国投資は生命線だ。建設が中断しているミッソン水力発電所など住民の反対に直面する事業計画はあるが、中国からの投資の重要性は変わらない。

ミャンマーでは15年までに、中国石油天然気集団(CNPC)が西部チャオピューと中国内陸部を結ぶパイプラインを稼働させた。中国中信集団(CITIC)がチャオピューで工業団地の開発を、広東振戎能源が南東部ダウェーで製油所の建設を計画するなど、中国資本の大型案件が目白押しだ。

スー・チー氏がもうひとつ中国に期待したのが、少数民族との停戦交渉に対する協力だ。ミャンマーでは独立以来、多数派ビルマ族と少数民族の衝突が続く。11年の民政移管後、和平交渉が本格化したが、これまでに停戦に応じたのは8勢力で、10以上の勢力が戦闘を継続する。

特に交渉が難航したのが中国国境の北東部シャン州の3武装勢力。鉱物資源が豊富なシャン州では、中国企業が武装勢力と協力して資源採掘を手掛け、中国が武装勢力に武器援助しているとの説もある。

スー・チー氏の中国滞在中の18日、シャン州の3武装勢力は突如、政府との停戦に応じる意向を示した。スー・チー氏の早期訪中を求めてきた中国側が、交換条件として武装勢力に圧力をかけたとの見方が強い。

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