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処分庁から育成庁へ、金融行政を刷新 有識者会議が報告書

金融庁は17日、金融行政のあり方を議論してきた有識者会議の報告書を公表した。金融機関の健全性や信頼性を維持するために厳しい処分を科してきたが、官民の対話で成長を促す検査・監督への転換を掲げた。同庁は1998年に旧大蔵省の金融部局を分離し、発足。20年目を迎え「金融処分庁」から「育成庁」への脱皮をめざす。

報告書を踏まえ、金融庁は今春をメドに行政を刷新する方針や作業工程をまとめる。前身の金融監督庁が発足した98年はバブルの後遺症で銀行が多額の不良債権に苦しんでいた。銀行に不良債権処理を厳しく迫り、金融と産業の一体的な再生をテコに日本の金融システムへの信頼回復を優先させた。今は不良債権問題を封じ込め、残高は過去最低を更新している。

米欧勢が経営危機に陥った2008年のリーマン・ショック時も、日本は相対的に健全性を保った。金融機関のリスク管理能力や経営体力はこの20年近くで飛躍的に高まったといえる。

一方、金融庁の半ば強権的な行政手法は副作用も生んだ。たとえば、法令順守を盾に重箱の隅をつつくような検査は、金融検査マニュアルの点検項目さえ形式的に満たせば済むとの姿勢をまん延させたと指摘される。金融機関は顧客企業の成長を支える金融仲介の役割を十分に果たさなくなったとの声もある。

森信親長官は昨夏、有識者会議を発足。人口減や低金利など金融機関の経営課題の変化に柔軟に対応できる金融行政のあり方を議論してきた。

報告書は、金融機関に経営の創意工夫を促す対話型行政を重視するとした。健全性や法令順守などを細かく点検するだけでなく、経営の大きな課題や将来像を官民で議論するという視点だ。画一的な点検項目を盛った検査マニュアルを抜本的に改め、監督指針と統合することも求めた。

報告書は組織改革の必要性にも触れた。縦割りの検査、監督を一体運用しやすくし、金融行政の司令塔機能を強化すべきだとした。従来は「検査局は立ち入り検査だけやるという考えだった」(幹部)。金融庁は検査、監督、総務企画という現在の3局体制の組み替えも含め、効果的な体制を検討する。

新しい金融行政が効果をあげるには、人材の育成が不可欠だ。金融機関の首脳らと経営課題を議論できる職員をいかに育てるか。「実務に落とす作業は容易ではない」(幹部)。民間経験者の積極的な中途採用や民間に転出した元職員の再雇用などが議論になりそうだ。報告書は外部の専門家の力も活用し、行政の質を高めることも求めた。

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