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ソニー、崩れた成長戦略 中核のスマホ事業で減損

15年3月期 最終赤字2300億円、初の無配に

ソニーが成長戦略の再構築を迫られている。17日、コア(中核)事業と位置づけるスマートフォン(スマホ)事業の中期戦略を見直し、減損約1800億円を営業損失として計上すると発表した。平井一夫社長兼最高経営責任者(CEO)は「構造改革をやりきる」と強調したが、具体的な成長シナリオの再提示が急務だ。

「スマホ事業の中期戦略を早急に練り直せ」。ソニーの吉田憲一郎最高財務責任者(CFO)は7月末、2014年度のスマホ販売台数見通しを700万台下方修正した後、構造改革のスピードアップを現場に強く指示した。

スマホは平井社長がエレクトロニクス部門のコアと位置づけている「ゲーム」「イメージング」と並ぶ重点事業の一角だ。同事業の13年度の売上高は、12年度比55%増の1兆1918億円と伸長し、当面の成長エンジンとして期待されていた。

しかし、高価格帯では「iPhone」の米アップル、低価格帯では急速に事業を拡大する中国勢に挟まれ、13年度のような成長を維持するシナリオが見通しにくくなってきた。今回の業績見通しの下方修正はこうした見方を反映したものだ。

大胆な減損を実施したことに対し、外資系証券アナリストは「経営のスピードが上がっている」と評価する。これまで何度も減損処理を実施したことで、業績が急激に下振れるリスクは低くなったとの見方もある。

ただ、同時に発表した事業面での戦略は(1)展開地域を収益を見込める市場に絞り込む(2)高付加価値商品への集中(3)低価格帯モデルの削減――といった方向性だけだ。

平井社長は「今後は販売規模ではなく収益を重視する」と量から質への戦略転換をアピールしたが、台頭する中国勢との正面対決を避けるための消極的な経営判断も透けて見える。スマホ首位の韓国サムスン電子ですら、事業の再構築に苦しんでいる。ソニーの思惑通りに収益性を確保できるかは予断を許さない。

さらに、スマホ苦戦の影響はエレクトロニクス部門だけにとどまらない。ソニーは映画や音楽などで豊富に抱えるコンテンツをスマホやテレビ、ゲームと連携させることで競合と差異化し、ハードとソフトの両面で収益を上げる戦略を掲げる。ゲーム機「プレイステーション4」の滑り出しは好調だが、コンテンツを消費者に届けるスマホが売れなければ、全体の成長戦略が崩れかねない。

ソニーは16年3月期に連結営業利益で4000億円の黒字見通しを示しており「今のところ変更はない」(平井社長)と説明している。現在、ソニーの黒字部門を合算すると4000億円規模になる計算で、目標達成にはエレキ事業の赤字の止血が欠かせない。この日の発表を受けた17日の米国市場で、ソニー株(米預託証券)は一時、前日比7%安と急落した。

平井社長は「まずは安定収益を出せる体質を構築し、投資できる経営に戻す」と強調するが、ソニーは昨年度に業績下方修正を3度繰り返した。「不退転の決意でビジネスを立て直すのが責任だ」との発言を早期に実行に移せなければ、責任論が強まることは避けられない。

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