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医療費の膨張 小休止 16年度概算0.4%減、75歳以上は増加

厚生労働省が15日発表した2016年度の概算医療費は41兆3千億円と、前年度と比べて0.4%減った。減少に転じるのは診療報酬が大幅にマイナス改定された02年度以来、14年ぶり。薬価(薬の公定価格)引き下げなどが奏功したが、75歳以上の高齢者に限ると医療費は増え続けている。今秋本格化する18年度の医療費抑制策を巡る議論は、薬の「費用対効果」をどう値段に反映させるかといった対応が焦点になる。

15年度はC型肝炎を治療する高額薬剤の「ハーボニー」と「ソバルディ」が集中的に使われた影響で医療費が3.8%増えた。16年度はこうした薬剤の使用量が減ったうえに薬価が約3割引き下げられた影響が大きく出た。医療費のうち薬代と薬剤師の技術料を合わせた「調剤」は4.8%の大幅な減少となった。

全体の医療費はわずかに減少したが、75歳以上に限れば1.2%のプラスだ。1人当たり平均で32万5千円の医療費は、75歳以上では93万円にもなる。高齢化と高額な薬剤や医療機器の登場により医療保険財政は膨張圧力が強く、厚労省も「医療費の減少は一時的だ」と説明する。

医療技術の進化と高額化に対応しようと進んでいる議論の一つが、費用対効果の薬価への反映だ。効果が高い割に価格が低い薬は値段を引き上げる一方で、価格に見合う効果が出ていないものは薬価が引き下げられる。

厚労省は中央社会保険医療協議会(厚労相の諮問機関)で、具体的な価格調整の方法や費用対効果を判断する際の基準について話し合っている。年内に詳細を詰めて来年度の本格導入を目指す。

費用対効果を薬価算定に取り入れている代表例は英国だ。費用対効果が低いと判断すれば保険適用から外すこともある。日本ではそこまで議論が至っていないものの、医療保険の持続性を高めるため検討を求める声が政府、与党内でも高まる可能性がある。

18年度は医療サービスや薬の値段の公定価格である診療報酬が改定される年にあたる。国の予算編成では高齢化などによる社会保障費の自然増を1300億円圧縮する必要があり、薬価引き下げなどで捻出する考え。医師の技術料にあたる診療報酬本体についても、政府内には逼迫する財政状況を考慮して厳しい改定で望むべきだとの声も多い。改定率は年末に決まるが、プラス改定を望む自民党厚労族や業界団体との間で駆け引きが激しくなる。

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