独首相「ディーゼルまだ必要」 EV転換も雇用配慮

2017/9/14 23:24
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 【ベルリン=石川潤、フランクフルト=深尾幸生】ドイツのメルケル首相は14日、フランクフルトでの国際自動車ショーで、現在主力のディーゼル車の改良と電気自動車(EV)への投資を同時に進める「二正面作戦」が必要と述べた。英仏は2040年までにディーゼル車・ガソリン車を禁止する方針だが、自動車大国の独は雇用に配慮しつつ緩やかな転換を目指す。ダイムラー、BMWの独大手トップもディーゼル車、EV双方の技術の重要性を訴えた。

14日、フランクフルト国際自動車ショーで独自動車メーカー首脳と談笑するメルケル首相=AP

 「我々は排出ゼロへの移行を成功させなければいけない」。メルケル氏は新エネルギー車の研究開発により積極的に取り組むべきだと指摘。20年までに独国内のEVの充電ステーションなどを10万カ所、追加で設置するとの考えを表明した。

 さらに、ディーゼル車の排ガス不正で急速にイメージが悪化した独メーカーの「背信行為」を批判。「自動車産業はできるだけ早く信頼を回復しなければならない」と厳しい口調で指摘した。

 一方で、ディーゼル車などが「まだ数十年にわたって必要になる」とも述べた。24日に連邦議会(下院)選挙も控えるメルケル氏にとって、自動車産業で働く80万人の雇用維持は大きな課題だ。

 EVなどへの移行を急ぎすぎれば、ディーゼル車の所有者の反発を招く可能性がある。メルケル氏は、ディーゼルが独自動車産業にとって当面必要な技術だとの立場を明確にした。

 独国内では政府の姿勢がメーカー寄りで、環境問題を軽視しているとの批判がある。8月には政府とメーカー各社が「ディーゼルサミット」を開き、ディーゼル車約530万台の無償修理で合意した。しかし、メーカーの負担が少ないソフト改修のみで、ミュンヘンなどが検討していた走行禁止論を退けた。

 選挙戦でメルケル氏のライバルとなる第2党、ドイツ社会民主党(SPD)のシュルツ党首も煮え切らない。欧州全体での電気自動車の比率義務付けを提案したが、伝統的に労組を支持基盤とすることもあり「ディーゼル車禁止は避けるべきだ」(3日の党首討論)とトーンダウンした。

 環境政党の緑の党は30年からのディーゼル・ガソリン車の禁止を選挙公約に掲げる。緑の党が連立政権に入れば、脱ディーゼルが加速するとみられるが、年限を定めた禁止にまで主要政党が歩み寄れるかは不透明だ。

 英仏のほか、中国など新興国でもEVシフトが加速している。環境分野での技術革新について、ディーゼル車やガソリン車で高いシェアを誇る日米独の自動車産業を切り崩す好機と捉えているためだ。メルケル氏の二正面作戦の背景には、先行者利益を守りながら、環境分野での遅れを取り戻さなければならないという独自動車産業の置かれた難しい状況がある。

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