メイ首相が続投表明 英総選挙、与党が敗北

2017/6/9 19:49 (2017/6/10 0:35更新)
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 【ロンドン=小滝麻理子】英国議会の下院議員選挙(総選挙、定数650)は9日までに開票をほぼ終え、与党保守党が過半数割れに追い込まれた。敗北を喫したメイ首相は同日、少数政党の協力を得て続投をめざす考えを表明した。だが政権運営は難しさを増し、欧州連合(EU)離脱交渉にも影を落とす。EU離脱を決めた1年前の国民投票に続き、英国発の混乱が第2幕に入る。

9日、続投を表明したメイ英首相(ロンドン)=ロイター
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9日、続投を表明したメイ英首相(ロンドン)=ロイター

 メイ氏は9日、組閣の許可を求めるため、首相任命権を持つエリザベス女王と面会した後、首相官邸前で声明を読み上げ「これから新政権をつくり、EU離脱をやり遂げる」と強調。続投の意向を鮮明にするとともに、今月中旬から予定通りEUとの離脱交渉を始める意欲をにじませた。

 同時に、下院で過半数の勢力を確保するため、北アイルランドの保守政党で今回10議席を得た民主統一党(DUP)と協力する方針を表明。「この重要な時期に英国に安定をもたらすことができるのは第1党となった保守党だけだ」と訴えた。

 649議席が確定した段階で保守党は318議席を獲得。第1党の座を守ったが、解散前から12減らし、過半数(326)割れに沈んだ。一方、最大野党の労働党は30以上増やし、261議席に躍進。スコットランド民族党(SNP)は35、自由民主党は12となった。

 どの政党も過半数を握れない「ハングパーラメント(宙づり議会)」。二大政党制が根付く英国で異例の事態に陥った。

 メイ氏率いる保守党はEU単一市場からの完全撤退など強硬離脱(ハードブレグジット)を掲げる。メイ氏は離脱交渉の本格化に備えて政権基盤の強化を狙い、2020年に予定していた総選挙を前倒しする勝負に出たが、裏目に出た。選挙戦で社会保障の高齢者負担増を提案し、保守党圧勝の流れが一変。相次ぐテロも追い打ちをかけた。

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 政局の混迷は避けられない。EUからの強硬離脱を掲げる保守党は、親EUのSNPや自民党と相いれない。メイ氏が連携をめざすDUPは連立政権ではなく、閣外協力を念頭に置くと英メディアは報じる。重要法案ごとに合意を取りつける必要があり、わずかな造反で政権が行き詰まる不安定さを抱え続ける。

 19日に予定される議会での女王演説までに、保守党がDUPとの協力の枠組みを固められるかどうかが当面の試金石だ。英メディアによると、DUPのフォスター党首は9日、保守党との協力へ協議に入ると表明した。

 もっとも、敗北を招いたメイ氏の責任論もくすぶる。今後、組閣や政権運営が難航し、保守党内で批判が高まる可能性は消えない。メイ氏の求心力低下は必至で、テロ対策など重要な政策が滞る恐れがある。総選挙を再実施する可能性もすでに取り沙汰されている。

 EU離脱交渉の先行きは一段と不透明感を増した。英政局の混乱が長引き、EUとの新たな貿易協定などの協議がまとまらないまま交渉期限の19年3月を迎え、英が自動的にEUから離脱する恐れも現実味を帯びる。EU離脱を選んだ昨年6月の国民投票から1年。英国が再び世界を揺るがす震源になりつつある。

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