2019年2月24日(日)

人質2事件、容疑者に接点 複数テロ連鎖の可能性
仏紙銃撃と女性警官射殺

2015/1/10付
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【パリ=竹内康雄】風刺週刊紙本社を銃撃し、12人を殺害したアルジェリア系フランス人の容疑者兄弟2人は9日、追跡する治安部隊とのカーチェイスの末、人質を取って籠城した。同日発生した別の人質事件の容疑者とは顔見知りだったとみられ、複数のテロが連鎖した可能性がある。同日夕の特殊部隊の強行突入で事件は一気に緊迫した。

AP通信によると、指名手配中のサイド・クアシ(34)、シェリフ・クアシ(32)両容疑者が立てこもっていたパリ北東部の印刷工場で9日夕(日本時間10日未明)、大きな爆発音や銃撃の音が響いた。米CNNテレビは特殊部隊が強行突入したと報じた。

両容疑者は7日、パリ市内の風刺週刊紙「シャルリエブド」本社に押し入り銃を乱射、12人を殺害して車で逃走した。シェリフ容疑者はイラクのイスラム過激派と関係があるとされ、2005年に逮捕された経歴がある。

兄弟は車で逃走を続け、8日にはガソリンスタンドを襲撃。仏政府は特殊部隊を投入し、足取りを追っていた。9日朝に当局は車に乗る2人を発見。カーチェイスの後、2人は印刷工場に立てこもった。

一方、8日朝にはパリ南部モンルージュで、男が警察官らに銃を乱射、女性警官1人が命を落とした。男はそのまま逃走。当局は「テロ行為」と断定し、男の親族らを拘束し、事実関係の解明を進めていた。当局は当初、週刊紙銃撃事件と、警官銃撃事件の容疑者の間には「関係はない」としていた。

だが当局の認識は一日で翻る。9日午前、当局幹部はAFP通信に「捜査を進めた結果、関連があった」と認めた。ほぼ同じ時間帯に、兄弟はパリ北東部で人質を取って工場に籠城。同日昼すぎにはパリ市東部バンセンヌのユダヤ系商店に男が押し入った。自動小銃を持っており、前日に女性警官を射殺した犯人と同じ人物とみられる。

仏警察は9日、モンルージュの事件に絡み、容疑者とみられる男と女の写真を公開した。アメディ・クリバリ(32)とアイヤット・ブムメディヌ(26)の両容疑者で、クリバリ容疑者がモンルージュで銃を乱射した人物とみられ、ユダヤ系商店も襲撃したもようだ。

仏紙フィガロ(電子版)は警察関係者の話として、ユダヤ系商店で人質を取っているとみられるクリバリ容疑者は、特殊部隊が週刊紙銃撃事件の容疑者兄弟を襲撃すれば、人質を殺すと脅迫していると伝えた。

フィガロによると、クリバリ容疑者は10年、イスラム過激派のアルジェリア人の脱獄計画にかかわったとして仏当局に逮捕された。弟のシェリフ容疑者は逮捕はされなかったが、同計画に関与したとされ、2人は接点があったことになる。

兄のサイド容疑者も09~13年の間に複数回にわたってイエメンに渡り、テロの訓練を受けていたことが確認された。いずれの容疑者もイスラム過激思想に感化された疑いが濃厚で、仏治安当局も情報をつかんでいたようだ。

それでもテロを事前に防げなかったことは、テロの防止が難しいことを浮き彫りにした。米欧の主要国にとって今後の課題になりそうだ。仏政府への批判が高まる可能性もある。

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