改正特区法成立、医師・家事代行で外国人の活用緩和

2015/7/9付
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地域限定で規制を緩和する特区を拡充する改正国家戦略特区法が8日、成立した。外国人の就労範囲を拡大し、診療所の医師として勤務したり、家事代行の仕事に就いたりすることを認める。都市公園に保育所の設置を認めるなど保育サービス向上のための施策も盛り込んだ。ただ日本経済の成長力を高める起爆剤としては小粒な内容にとどまっている。

国家戦略特区は新たな産業や雇用を創ることを目的に、地域限定で規制を緩和する仕組み。安倍政権の成長戦略の柱の一つとして、2013年12月に成立した国家戦略特区法で導入した。特区は東京圏、関西圏、福岡市など6地域だったが、今回の改正で仙台市、愛知県、秋田県仙北市の3地域が新たに加わった。

新たな規制緩和の目玉の一つは外国人の活用拡大だ。大病院に限っていた外国人医師の受け入れを、住民に身近な「クリニック」などの診療所にも広げる。秋田県仙北市が温泉を使った医療ツーリズムを念頭に要望したものだが、すべての特区で規制が緩和される。医師不足問題の解決に寄与する可能性がある。

家事代行でも外国人の就労を認める。大阪市や神奈川県などが求めていた。良質で安いサービスが増えれば家庭の家事負担が軽くなり、働く女性が増えるとの考えからだ。育児と仕事の両立支援につなげる狙いだ。

保育分野では都市公園内に保育所を開設できるようにする。用地不足に悩む東京都荒川区が要望していた。また地域限定で認める保育士の試験を都道府県に加え、政令市でも実施できるようにする。保育所や保育士を増やし、待機児童問題の解消につなげたい考えだ。

新たに加わる3地域は技術開発での規制緩和も求めた。仙北市では無人飛行機(ドローン)を遭難者の捜索などに役立てる方法を実験予定。愛知県や仙台市は自動運転車の実験を計画している。

政府は年内に特区地域をさらに増やしたい考え。ただ現状は規制改革の起爆剤にするという当初目指した姿からは遠い。

安倍政権がつくった国家戦略特区は雇用、医療、税制など岩盤とされる規制を地域限定で緩め、規制改革を全国に広げる突破口にするのが本来の狙い。地域振興を目的とするそれまでの特区とは一線を画すはずだった。

ところが、15年4月の統一地方選などが意識され、地方創生に力点が置かれるようになってきた。緩和のスピードは遅く、特区で認めた規制緩和を全国に広げる道筋も見えない。

雇用の流動性を高めてビジネス環境を整える規制緩和は不十分だ。農業分野で企業の参入を進める改革も進んでいない。

第一生命経済研究所の熊野英生・首席エコノミストは「すぐに全国展開が難しい規制緩和でも、指定地域で実験してみるという当初の理念に戻るべきだ。経団連の規制改革要望は200近くあり、民間のアイデアを生かす努力が要る」と指摘する。

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