米国株、ダウ反落し98ドル安 ナスダック指数は1カ月ぶり安値
【NQNニューヨーク=横内理恵】27日の米株式市場ではダウ工業株30種平均が反落した。終値は前日比98ドル89セント(0.5%)安の2万1310ドル66セントだった。欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁が金融緩和の縮小に前向きな姿勢を示したと受け止められ、欧州主要国の株価指数が軒並み下落。米国株にも売りが及んだ。主要ハイテク株が総じて軟調だったのも相場の重荷となった。
ドラギECB総裁は27日、ユーロ圏の力強い景気回復を指摘したうえで「デフレ圧力はリフレに変わった」と述べ、物価に強気の見方を示した。ECBが金融緩和策を縮小し始める時期は想定よりも近いとの見方から、欧州市場では主要国の国債利回りが上昇(価格は下落)し、株式相場の重荷となった。
米株式相場は取引終盤にかけて下げ幅を広げ、ダウ平均はこの日の安値圏で終えた。米上院共和党が医療保険制度改革法(オバマケア)の代替法案の採決を7月以降に先送りすると発表した。税制改革など景気刺激策の審議が遅れるとの見方も売りを誘った。
米連邦準備理事会(FRB)のイエレン議長は27日、ロンドン市内での討議に参加し、株式などの資産価格が「いくらか高い」との認識を示したと伝わった。イエレン議長は期待インフレ率の低下などに言及し、物価動向を注視する姿勢も示したものの、将来の金融政策について特に踏み込んだ発言はなかったとして相場の反応は限られた。
ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数は続落し、同100.526ポイント(1.6%)安の6146.623で終え、5月23日以来およそ1カ月ぶりの安値を付けた。欧州連合(EU)の欧州委員会がEU競争法(独占禁止法)に違反したとしてインターネット検索大手の米グーグルに制裁金を課すと発表。グーグルの持ち株会社アルファベットが大きく下げ、指数を下押しした。
欧州委の取り締まりが厳しくなるとの警戒からアマゾン・ドット・コムやフェイスブックにも売りが拡大。ハイテク株は総じて軟調で、ダウ平均を構成する30銘柄ではマイクロソフトやアップルなどの下げも目立った。
業種別S&P500種株価指数では「情報技術(IT)」「電気通信サービス」を始め、全11業種のうち10業種が下落した。一方で、米長期金利の上昇などを背景に「金融」は上げた。
2017年の業界全体の新車販売見通しに慎重な姿勢を示した自動車のゼネラル・モーターズ(GM)が下落した。スウェーデンの高級車メーカー、ボルボ・カーと自動運転の開発で提携した画像処理半導体(GPU)のエヌビディアには売りが優勢だった。
通信のベライゾン・コミュニケーションズやAT&Tが安い。携帯4位のスプリントが米CATVのチャーター・コミュニケーションズとコムキャストと提携に向けた交渉を始めたと伝わり、携帯事業の競争激化を警戒した売りが出た。
一方で、スプリントは上昇した。朝方に発表した決算が市場予想を上回った外食のダーデン・レストランツが上昇。ダウ平均ではJPモルガン・チェースやウォルマート・ストアーズが上げた。
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