米国株、反落でダウ162ドル安 利下げ観測後退で アップルは大幅高
【NQNニューヨーク=滝口朋史】1日の米株式市場でダウ工業株30種平均は4営業日ぶりに反落し、前日比162ドル77セント(0.6%)安の2万6430ドル14セントで終えた。米連邦準備理事会(FRB)が利下げに向かうとの期待が後退し、幅広い銘柄が売られた。一方、前日発表した2019年1~3月期決算が市場予想を上回ったアップルが大幅に上昇し、相場を支えた。
FRBは1日まで開いた米連邦公開市場委員会(FOMC)で政策金利のフェデラルファンド(FF)金利を据え置いた。声明文では景気判断を引き上げた一方、物価については表現をやや弱めた。金融政策が緩和に向かいつつあるとの思惑からダウ平均は上げ幅を広げる場面があった。
ただ、パウエル議長の会見が始まると下落に転じた。議長は現在の政策は「適切だ」と繰り返し、物価の伸び悩みについては「一時的な要因」によるものだと強調した。市場では「FRBが金融緩和に傾いているという証拠はなかった」(ハイ・フリクエンシー・エコノミクスのジム・オサリバン氏)との指摘があった。
米景気の先行きに慎重な見方が広がったのも相場の重荷だった。米サプライマネジメント協会(ISM)が発表した4月の製造業景況感指数は2カ月ぶりに低下し、16年10月以来の低水準で市場予想も下回った。「新規受注」「生産」「雇用」など主要な項目の低下が目立った。
機関投資家の多くが運用指標に据えるS&P500種株価指数が前日まで3日続けて過去最高値を更新しており、目先の利益を確定する目的の売りも出やすかった。主要な株価指数は取引終了にかけて下げ幅を広げ、この日の安値圏で終えた。
一方、1~3月期決算が市場予想ほど悪化せず、4~6月期の売上高見通しが市場予想を上回ったアップルは目標株価の引き上げが相次いだこともあり大幅に上昇。5%近く上げ1銘柄でダウ平均を67ドル近く押し上げた。時価総額は11月初旬以来ほぼ5カ月ぶりに1兆ドルの大台を回復する場面があった。
米雇用の増加が続くとの見方も相場を支えた。米民間雇用サービス会社ADPが発表した4月の全米雇用リポートで、非農業部門の雇用者数が前月比27万5000人増と、18年7月以来の高水準になった。経済成長が当面は続くとの見方が投資家心理の改善につながった。
ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数は続落し、45.748ポイント(0.6%)安の8049.640で終えた。アルファベット(グーグル)に4月29日夕に発表した四半期決算が低調だったのを嫌気した売りが続いたほか、マイクロソフトなど主力株の一角に売りが優勢になった。