米国株、ダウ反発し69ドル高 3日ぶりに最高値更新、ウォルマートけん引
【NQNニューヨーク=滝口朋史】10日の米株式市場でダウ工業株30種平均は3営業日ぶりに反発した。終値は前日比69ドル61セント(0.3%)高の2万2830ドル68セントと3営業日ぶりに過去最高値を更新した。大規模な自社株買いなどを発表したウォルマート・ストアーズが大幅高となり、相場上昇をけん引した。経済指標など相場全体を動かす材料を欠き、材料の出た個別銘柄の物色が中心だった。
ウォルマート株は前日比4%強上げ、1銘柄でダウ平均を24ドルあまり押し上げた。投資家向け説明会で向こう2年間で総額200億ドルの自社株買いを実施すると発表したほか、2019年1月期の米国のインターネット通販が今期予想比4割伸びるとの見通しを示したのが好感された。
サウジアラビアが11月の原油輸出を削減すると明らかにし、需給改善を見込んだ買いで原油先物相場が大幅に続伸した。収益改善への期待からシェブロンやエクソンモービルなどエネルギー関連株が買われ、株式相場の支えになった。
ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数も反発し、前日比7.521ポイント(0.1%)高の6587.252で終えた。完全自動運転車を作るための開発基盤(プラットフォーム)を18年後半から供給すると発表したGPU(画像処理半導体)大手のエヌビディアが買われ、指数を押し上げた。フェイスブックやアルファベット(グーグル)などの主力株が売られ、指数の上値は重かった。
業種別S&P500指数では全11業種中9種が上昇。「生活必需品」「公益事業」「金融」の上げが目立った。一方、「一般消費財・サービス」が下げた。
17年7~9月期の業績が従来予想ほど落ち込まないとの見通しを示した空運大手、ユナイテッド・コンチネンタル・ホールディングスが買われた。製薬大手メルクによる株式取得の計画を明らかにしたカルビスタ・ファーマシューティカルズが急伸した。
ダウ平均の構成銘柄では建機のキャタピラーや飲料のコカ・コーラ、航空機のボーイングなどの上昇が目立った。
一方、取締役派遣を求めた著名アクティビスト(物言う株主)、トライアン・ファンド・マネジメントの提案を反対多数で否決した日用品大手プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)が売られた。証券会社が投資判断を引き下げたセキュリティーソフト大手のシマンテックが安い。投資判断と目標株価の引き下げが伝わった天然ガスのチェサピーク・エナジーも下げた。
ダウ平均の構成銘柄では医療保険のユナイテッドヘルス・グループやIT(情報技術)機器のシスコシステムズ、半導体のインテルなどが安い。
関連キーワード