米国株、ダウ204ドル安 2万2000ドル割れ 北朝鮮情勢を警戒し売り広がる
【NQNニューヨーク=戸部実華】10日の米株式市場でダウ工業株30種平均は大幅に3日続落した。前日比204ドル69セント(0.9%)安の2万1844ドル01セントで取引を終え、7営業日ぶりに2万2000ドルを割り込んだ。北朝鮮と米国との軍事衝突への警戒感が強まり、金融株やハイテク株を中心に幅広い銘柄が売られた。
朝鮮中央通信は10日、北朝鮮の米領グアム周辺へのミサイル発射計画の内容を報じた。トランプ米大統領は8日に「北朝鮮には世界がみたこともない炎と激怒で対抗する」と警告したが、10日には「(8日の警告は)不十分だったかもしれない」と発言したと伝わった。同大統領の姿勢が厳しさを増したと受け止められ、警戒感から株式市場には売りが広がった。
株式に比べ価格変動が小さく、相対的に安全資産とされる米国債に資金が向かい、金利が低下。利ざや縮小が嫌気され、金融株が売られた。ゴールドマン・サックスとJPモルガン・チェースの2銘柄でダウ平均を47ドル押し下げた。
7日までダウ平均は9日連続で過去最高値を更新した後とあって、利益確定売りも出やすい。北朝鮮情勢が米株相場に「小休止をもたらすきっかけとなった」(キングスビュー・アセットマネジメントのポール・ノールト氏)との声もあった。
ハイテク株の比率が高いナスダック総合株価指数は大幅に3日続落した。前日比135.460ポイント(2.1%)安の6216.872で終えた。アップル、アマゾン・ドット・コム、フェイスブック、アルファベット(グーグル)など主力株が大きく下げ、指数の重荷となった。
業種別S&P500種株価指数(全11業種)では「IT(情報技術)」「一般消費財・サービス」「金融」など10業種が下落した。一方、「公益事業」は上昇した。
取引開始前に2017年5~7月期決算を発表した百貨店大手のメーシーズは、1株利益が市場予想を上回ったが、経営トップの慎重発言が伝わり売りに押された。同業のコールズも大幅安。4~6月期の赤字幅が市場予想以上に拡大した食材キット配達のブルー・エプロンも売られた。
ダウ平均の構成銘柄では、金融株のほか、アップル、IT機器のシスコシステムズ、ゼネラル・エレクトリック(GE)の下げが目立った。
一方、業績見通しを引き上げたアイルランドの製薬ペリゴが大幅高だった。ダウ平均の構成銘柄では、外食のマクドナルド、飲料のコカ・コーラは上昇した。
関連キーワード