米国株、反落しダウ90ドル安 米中対立への懸念強まる、上げる場面も
【NQNニューヨーク=横内理恵】9日の米株式市場でダウ工業株30種平均は反落し、前日比90ドル75セント(0.3%)安の2万6287ドル44セントで終えた。世界経済の先行き不透明感に加え、米中対立への警戒感が改めて強まった。
トランプ米大統領が同日のインタビューで、米中の貿易交渉について「中国と合意する準備ができていない」などと述べ、9月上旬に予定される米中貿易協議を中止する可能性を示唆した。中国通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)についても米政府は取引しないとし、米中対立が深まるとの警戒感を誘った。
建機のキャタピラーやスポーツ用品のナイキなど中国依存度が高い銘柄が売られた。前日夕には米政府が米企業とファーウェイとの取引再開の許可決定を遅らせていると伝わっており、インテルなど半導体株にも売りが広がった。ダウ平均は280ドル安まで下げ幅を広げる場面があった。
イタリア政局の混乱に対する警戒感に加え、英国の欧州連合(EU)離脱を巡る不透明感も強まっている。欧州政治を巡って投資家のリスク回避姿勢に拍車がかかったことも米株式相場の重荷となった。
午後に入ると下げ渋り、ダウ平均は取引終了にかけて一時は上げに転じた。週末を控えて持ち高を一方向に傾けたくない投資家が売り持ち高を中立方向に戻す目的の買いを入れた。生活必需品や公益事業などのディフェンシブ銘柄や内需関連株に資金が向かった。
ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は4日ぶりに反落し、同80.016ポイント(1.0%)安の7959.140で終えた。米中貿易摩擦が長期化するとの懸念から半導体やハイテク株への売りが目立った。