米国株、ダウ反落 米国の感染者急増を嫌気 週末控え利益確定売りも
【NQNニューヨーク=戸部実華】27日の米株式市場でダウ工業株30種平均は4日ぶりに反落し、前日比915ドル39セント安の2万1636ドル78セント(速報値)で終えた。米国の新型コロナウイルスの感染者数が26日に中国を上回って世界最多となるなど、感染拡大が続いた。世界的に外出制限の動きが広がり、人や物の移動の制限長期化による景気不安から売りが膨らんだ。
米ジョンズ・ホプキンス大学の集計によると、27日現在の世界の感染者数は58万人を超えた。米国の感染者数は10万人近くとなった。世界経済の下押し圧力が強まるとの懸念から売りが出て、ダウ平均の下げ幅は1000ドルを超える場面もあった。
大型経済対策の早期実現への期待でダウ平均は26日までの3日間で2割超上昇していたため、週末を控えて短期的な利益を確定する売りも出た。米下院は27日午後、2兆ドル(約220兆円)規模の経済対策法案を可決した。ただ市場は可決を織り込み済みで相場への反応は限られた。
航空機のボーイングが1割下げた。ムニューシン米財務長官は27日、大型経済対策法案は「航空業界の救済ではない」と強調した。同時にボーイングについて「連邦政府の支援プログラムを活用する意向は示していない」と述べたと伝わった。経済対策の期待で連日買われてきただけに、救済を巡る不透明感を意識した売りが優勢だった。米原油先物相場が続落し、石油のシェブロンやエクソンモービルも安かった。