世界遺産登録、17年候補は宗像・沖ノ島を推薦へ 文化審
文化審議会は28日、2017年の世界文化遺産登録を目指す候補として、福岡県の古代遺跡「『神宿る島』宗像・沖ノ島と関連遺産群」を選んだ。来年2月1日までに政府が国連教育科学文化機関(ユネスコ)に推薦書を提出し、17年夏のユネスコ世界遺産委員会で審査を受ける。

沖ノ島(宗像大社沖津宮)は九州と朝鮮半島の中間にあり、4~9世紀に大陸との交流の成就を祈る国家的祭祀(さいし)が行われた。朝鮮半島製の金製指輪や中東のペルシャからもたらされたカットグラスの破片など約8万点の出土品が国宝に指定され、「海の正倉院」とも呼ばれる。
今も女人禁制などの禁忌が守られており、地元自治体は「島を信仰の対象とする伝統が継承されてきた世界でもまれな例」と説明、「文化的伝統や文明の存在を伝える」といった世界遺産の登録基準を満たすとして推薦を求めていた。
選定に当たった文化審議会特別委員会の西村幸夫委員長(東大先端科学技術研究センター所長)は記者会見で「古代祭祀の跡がほぼ手付かずの状況で保存され、世界的な価値がある」と指摘し、宗像大社などによる保全体制が整っている点も含めて評価した。
遺産群は沖ノ島に加え、九州本土にある宗像大社の社殿、祭祀を担った豪族の古墳群など全5件で構成する。
ほかに「北海道・北東北を中心とした縄文遺跡群」(北海道、青森、岩手、秋田)と「金を中心とする佐渡鉱山の遺産群」(新潟)、「百舌鳥・古市古墳群」(大阪)の3件も選考対象になっていたが、特別委は、縄文遺跡群と古墳群は遺産の構成や世界的な価値の説明方法をさらに検討すべきだと指摘。佐渡鉱山については、劣化が進むコンクリート製建物などの保全策をより具体化する必要があるとした。〔共同〕
関連キーワード