2019年2月21日(木)

消費者の信頼裏切った三菱自の燃費不正

2016/4/22 3:30
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「またやってしまったのか」という思いを禁じ得ない。三菱自動車が軽自動車で燃費をよりよく見せかける不正を意図的に行っていたと公表した。同社は以前2度にわたって組織的なリコール隠しが明るみに出て、消費者の反発で経営危機に陥った経緯がある。

それにも懲りず、新たな不正が発覚し、三菱自の企業体質に深刻な疑問が突きつけられた。

不正の対象は「eKワゴン」など62万5千台で、うち46万8千台は同社が日産自動車向けに供給した車だった。走行試験などを手がける性能実験部という部門が、燃費算定の前提となる「走行抵抗値」を都合よく操作し、カタログに記載される燃費性能を本来の値より5~10%水増ししたという。

いま求められるのは、燃費不正が他の車種にも及んでいないか、あるいは燃費以外の排ガスや安全関連の規制でも不正がなかったかを早急に確かめることだ。当該車を買った人に対しては、補償も必要だろう。消費者の信頼を裏切った罪は大きい。

再発防止に向けては、不正に手を染めた個人の特定にとどまらず、不正の背後にどんな社内力学が働いたのかの解明も不可欠だ。

同社は昨年11月にも新車開発の遅れを会社に報告しなかったとして担当部長2人を諭旨退職処分にする異例の人事を行った。自動車会社の中枢を担う開発部門で、指揮命令系統や情報伝達に混乱が生じていないか、非常に気になる。

不正発覚のきっかけが提携先の日産自動車からの指摘だった事実も、三菱自の自浄能力に疑問を投げかけるものだ。同社は外部有識者による第三者委員会を設け、真相究明に当たるという。これを機に組織の風土や体質が抜本的に変わらなければ、企業としての社会的存在意義が揺らぐという危機感を関係者全員が共有してほしい。

日本の自動車産業全体にとっても今回の不正はマイナスだ。昨年は独フォルクスワーゲンのディーゼル不正が話題になったが、三菱自の不正発覚で「日本車はまじめで信頼できる」というブランドイメージが傷つかないか心配だ。

これまで自動車の燃費算定については、所管の国土交通省はメーカーの提出するデータに依拠して算出してきた。そのデータが信頼できないとなれば、すべての試験を公的機関が実施することになり、政府部門の肥大化を招く恐れもある。不正の副作用は大きい。

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