熊本地震 未知の連鎖 「断層の巣」震源北東へ
南西も拡大警戒

2016/4/22付
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熊本地震の発生から21日で1週間を迎えた。16日未明にはより大規模な「本震」が起き、距離の離れた阿蘇地方や大分県でも大きな地震を誘発する異例の事態に発展した。建物の倒壊や土砂災害による被害は広域に及び、多発する余震や震源域の一段の拡大への警戒が続く。住民の生活を再建し、地域の復興を遂げるには時間がかかりそうだ。

熊本県熊本地方が激しい揺れに見舞われたのは14日午後9時26分ごろ。地震の規模を示すマグニチュード(M)は6.5で、同県益城町では震度7を記録した。気象庁によると南北方向に引っ張られる力で地盤が水平に動く「横ずれ型」と呼ぶタイプの地震だった。

震源の深さが11キロメートルと浅く、揺れが大きくなった。国内で震度7を観測するのは2011年の東日本大震災以来で、住宅の倒壊で犠牲者が出るなど大きな被害につながった。

地震活動は過去に例のない展開を見せる。16日午前1時25分ごろ、熊本地方を再び強い揺れが襲う。1995年の阪神大震災と同じM7.3。14日夜の地震を上回る規模だった。気象庁は後に震度計のデータを解析し、益城町などで震度7だったと発表した。

気象庁は14日の地震が起きた時点で、さらに大きな地震が来るとは考えていなかった。経験則から、大きな地震の後に続く余震の多発に警戒を呼びかけていた。

もはや従来の常識は通用しなかった。16日未明から朝にかけ、阿蘇地方や大分県中部でも大きな地震を観測した。

地震の連鎖はなぜ起きたのか。日本列島は地震を繰り返す2000以上の活断層がある。政府の地震調査委員会によると、最初の震度7は長さ約81キロメートルの日奈久(ひなぐ)断層帯の北端がずれたことが原因だった。次の16日は同断層帯の北側を走る布田川(ふたがわ)断層帯で発生した。

大分県から熊本県に至る別府―島原地溝帯付近は、両断層帯を含め多くの活断層が集まる「地震の巣」だ。大分県側にも別府―万年山(はねやま)断層帯がある。

日本列島の下には海底のプレート(岩板)が沈み込み、陸地に力が加わる。「もともと地盤にひずみがたまっていた」(東京大学の古村孝志教授)地域で大きな地震が起き、誘発されるように北東方向に拡大した。

1つの活断層がずれると周辺へかかる力が変わり、次の大地震の引き金になるとの考えはある。だがM7級の地震をきっかけに九州を横切るほどの規模で震源域が広がるのは「見たことがない現象」(京都大学の飯尾能久教授)で、詳しい仕組みは不明だ。日奈久断層帯の南西側などでさらに大地震が起きる懸念も指摘されている。

活断層 「断層」と呼ぶ岩盤の割れ目のうち、過去に繰り返しずれを起こし、将来も活動するとみられるのが「活断層」だ。多くの人が暮らす内陸部や沿岸部の直下で大きな地震を起こす危険がある。地域によって地盤への力のかかり方は変わり、活断層がずれる方向は垂直方向(縦ずれ)にも水平方向(横ずれ)にもなる。
 日本列島は地球表面を覆う複数のプレート(岩板)がせめぎ合う場所に位置する。プレートは少しずつ移動しており、プレート境界とともに活断層にもひずみがたまる。約2000の活断層がある日本は世界有数の地震大国とされている。
 政府の地震調査委員会は主要な97の活断層を対象に掘削調査などを通じて、地震が起きた場合の規模や30年以内の発生確率などを評価している。ただ、個々の活断層の活動間隔は1000年から数万年に及び、次にいつ地震が来るかを具体的に予測するのは難しい。
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