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スマホ世代、動画も自撮り 「見たいもの」だけ限定

(村山らむね)

スマホが定着するに従って、今までと違った枠組みが生み出されている。4月10日に1周年を迎えたC Channel(東京・渋谷)も、「縦型の動画」「1分以内」にこだわって人気を博し、3月は月間視聴数が1億を超えたという。

ユーチューブやVineなどの投稿型のプラットフォームとは一線を画し、独自製作の動画、「クリッパー」と呼ばれるモデルやタレントの女の子による投稿、一般投稿の3種類をそろえている。プラットフォームというよりはメディアであることにこだわっている。

C CHANNELは化粧やヘアメークなどの自撮りが多い

山崎ひとみ編集長によると、人気の秘密は1分以内という短さ、そしてスマホの向きを変えなくても全画面表示で見える迫力。人気の動画はメーク、ヘアスタイル、料理。ハウツーものが強い。最近ではネイルを完成させる動画が人気を呼んでいるそうだ。

かわいい女子力にあふれた動画は見飽きない。最近では企業の広告動画の依頼も急増し、資生堂はアイシャドーをクリッパーたちが使う動画、サッポロビールは花見に最適なデザートを作る動画で注目を集めた。

この縦型動画の動画から、いわゆるスマホ世代のメディアとのつきあい方が浮かび上がってくる。明らかに横型動画や正方形動画と違うのが「一人称単数」であるところ。縦型のために1人のバストアップの動画が非常に多い。いわゆる自撮り動画で、画面の中から他者との関係性が浮かび上がることは少ない。

以前、元アイドルのOLが「(画像交流サイトの)インスタグラムにおばさんは入ってきてほしくない」と発言をして注目されたが、私は彼女の言うことは彼ら世代の正論だと思う。

私たちの世代がインターネットや交流サイト(SNS)を「知っている誰か」だけでなく「知らない誰か」ともつながるオープンな環境と考えるのに対して、スマホネイティブ世代は閉じるためにSNSを使う。

「既にフェイスブック、ツイッター、LINEで、コミュニケーションが取れない相手がいなくなったことで、逆に閉じることに価値が出てきたのではないか」と山崎編集長。「好きな人とだけつながりたい」という思いから、SNSやメディアを取捨選択している。

 むらやま・らむね 慶大法卒。東芝、ネットマーケティングベンチャーを経てマーケティング支援のスタイルビズ(さいたま市)を設立、代表に。

縦型動画はメークやヘアメークなど、女性が好むものをきれいに見せるのに非常に適しており、見たくないものが映り込む余地が少ない。「女の子を美しく見せるテンプレート」(山崎編集長)でもある。クリッパーたちは、この1分以内の縦型動画を好む自分たちと同様の女子たちが観客だからこそ、共感を得るために動画をアップする。

我々旧世代は、メディアというものは開かれた不特定多数を相手にしているものと捉えがちだが、C CHANNELは、20代女性にしぼり、ストレスのない環境を提供している。異者が映り込まない、縦型というテンプレートと短時間という枠組みを武器にして。

開くこと、不特定多数を相手にすること、その規模が大きいほど価値があった旧世代メディアから、絞るほどに価値を増す可能性のある分散型メディア。その可能性がどこまで成長するのか今後が楽しみだ。

そして、世界に向けて自己表現する手段がある中で、C CHANNELやMixChannelをあえて選んで自己表現するスマホネイティブ世代。今後も、新しいメディアスタイルを生み出していくに違いない。おばさんとしては、うるさがられない程度にウオッチしたいものだ。

(通販コンサルタント)

〔日経MJ2016年4月22日付〕

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