オイシックス、実店舗に誘客 ネット会員にクーポン

2016/4/23 6:30
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野菜宅配のオイシックスが、インターネットと実店舗を融合させる「オムニチャネル」に挑んでいる。10万人を超えるネット通販の会員にクーポンを配信したり、アプリでポイントを付与したりして、自社の運営する実店舗への集客をはかる。逆にネットが苦手な高齢者らに実店舗でアプローチし、通販の利用を促す考えだ。

オイシックスは実店舗を展開し、ネット会員の誘致をはかる(東京都渋谷区にあるOisix恵比寿三越店)

オイシックスは実店舗を展開し、ネット会員の誘致をはかる(東京都渋谷区にあるOisix恵比寿三越店)

オイシックスは2010年からネット通販の他に、自前で有機野菜などを売る実店舗を展開している。現在は恵比寿三越店(東京・渋谷)とアトレ吉祥寺店(東京都武蔵野市)の2店舗だ。

恵比寿三越店で野菜を選んでいた40代の女性は「オイシックスはネット通販のイメージが強いけれど、直接野菜を手にとって選ぶのもいいわね」と満足そうに話す。

現在、オイシックスの収益の大半はネット通販によるもの。実店舗を出すのは「ネットになじみの薄い高齢者や、会員の買い足し需要を取り込む手段になる」(統合マーケティング室の辻本亮氏)とみているからだ。

ネットで積み上げた約10万人の会員を、いかに実店舗へ誘致するか。まずはメールなどを使い、ネット会員向けに実店舗の商品が10%オフで購入できるクーポンを配信した。

さらに会員ごとにネットでの購入履歴を分析し、普段よく買う商品で実店舗でも扱っているものを紹介。するとクーポンを持って来店する客の数が2倍になった。今後も年4回程度、クーポンを配信していく。

もう一つはアプリの利用だ。1月、リクルートライフスタイルが運営する「ショプリエ」を導入した。顧客は来店時にアプリの画面上でチェックインすると、リクルートのサービスなどでも使える「リクルートポイント」をためられる。

オイシックスの場合、1回のチェックインで10ポイントがたまり、1ポイントを1円に換算して500ポイントから利用できる。徐々にアプリを利用して来店する人が増えているという。

オイシックスはこの2店舗のほか、東急ストアやクイーンズ伊勢丹などと提携して、スーパーの青果売り場に自社の野菜コーナーを設ける「ショップインショップ」も26店で展開する。

小売り各社はオムニチャネル戦略に力を入れている。実店舗を展開する会社がネットに参入するケースが目立つが、オイシックスのようにネット通販から実店舗に参入するケースはまだ多くはない。

実店舗を持つことで認知度を上げ、ネット会員の増加につなげたい思いがある。ただ、今のところ「実店舗に訪れる客をネットに誘致する取り組みは不十分」(辻本氏)と課題は残る。

オイシックスはネット通販会社としての強みを様々に生かしてきた。昨年の5月からは、他社のネット通販事業のマーケティングなどを支援するサービスを始めた。画像の見せ方や販促手法を提案している。

16年3月期の売上高は、前期比10.7%増の200億円となる見込み。15期連続で過去最高の売上高更新をにらむ。さらに「ネット通販と実店舗の両方を持つ強みを生かした集客」(辻本氏)を実現し、業績に弾みをつける考えだ。(毛芝雄己)

[日経MJ2016年4月20日付]

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