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瀬戸内の島へドローンでお届け 輸送20kmに成功

(藤元健太郎)

いよいよ、ドローン(小型無人機)を使った配送サービスが千葉大学のベンチャーと楽天、ヤマト運輸など複数の企業の共同実験の形で千葉市で始まった。2013年にアマゾンが「プライムエア」構想を発表した時にはまだまだ当分先の夢物語と見られていたが、急速に実用化へと進んでいる。

瀬戸内海の実験では往復20キロメートルに及ぶ輸送に成功した

千葉市は国家戦略特区に選ばれている。ドローン物流を実現するためには電波法、航空法などの規制をはじめ、様々な課題がある。実証実験を行いながら解決していく先進地域を目指している。

11日の実験では、イオンモール幕張新都心の高さ23メートルの屋上から、150メートル先の公園へワインボトルを運ぶことに成功した。しかし、人口が密集した都市部では落下や衝突事故、ドローンのカメラによるプライバシー問題、既存の配送手段と比較したコストなど、まだまだ実用化に向けた課題が多いのも事実だ。

一方で実用化が早急に望まれる地域が存在する。それが離島だ。日本は実に6852もの島から成る世界トップクラスの離島大国。そのうち有人の島が418存在する。

離島は交通手段が限られており、フェリーや高速艇は1日に数回しか運行しない所がほとんどだ。高齢化も急速に進み、多くが過疎地域でもある。まさに、今問題になっている「買い物難民」だらけの地域だと言える。一方で都市部で問題になるような落下、衝突事故のリスクははるかに小さい。

有人の島の3分の1以上は瀬戸内海に存在している。ここでドローン配送を進めるためのプロジェクト「KamomeAirプロジェクト」が発足し、実証実験が進められている。

昨年9月の実験では、医薬品を想定した荷物を20キロメートル輸送することに成功している。代表の小野正人氏は「離島には商店も無ければ病院・診療所も無いところがほとんどだ。病気の人のための薬品などの配送にドローンは最適。医薬品医療機器法(旧薬事法)などの改正も必要だが必要な社会インフラとして実現したい」と語る。

同プロジェクトでは無人貨物船、海上を飛ぶ高速ドローン、島の物流基地と高齢者宅をつなぐ無人輸送車の活用を構想。陸海空すべてを組み合わせ、気象条件を含めた管制システムも構築する計画だ。24時間365日、完全自動で機能する離島向け物流インフラを目指す。

ふじもと・けんたろう 電気通信大情報理工卒。野村総合研究所を経て99年にフロントライン・ドット・ジェーピーを設立し社長。02年から現職

これらを既存の物流事業者に利用してもらうことを想定している。複数の物流事業者が共同で利用すれば、各社は個別に投資しなくて済む。

アマゾンの本拠地であるアメリカは国土が広く、郊外には大きい庭を持つ家も多い。そうした地域におけるドローン配送システムと、日本のような人口密集地と離島が存在するような国では、求められるシステムが異なる。

東南アジア諸国連合(ASEAN)ではフィリピンが約7000、世界で最も島が多いインドネシアはなんと約1万3000もの島で構成されている。日本型のドローン配送システムは、そうした国の社会インフラとして、日本が主導的に輸出する産業としても期待できる。

先進国の多くは高い失業率の問題を抱えており、様々な分野における無人化には「機械に仕事を奪われる」などと抵抗も大きい。

対して日本は高齢化に伴い、物流の担い手の労働者も減少する一方。課題先進国だからこそ、テクノロジーによる労働力不足解決が急速に進むことが期待できる。

今こそさらなる規制緩和を進め、人工知能(AI)やドローン、ロボットによる世界最先端の無人化技術大国を目指すチャンスと言えるだろう。

(D4DR社長)

〔日経MJ2016年4月15日付〕

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