LINEで贈るディズニー入園券 ギフト需要狙う - 日本経済新聞
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LINEで贈るディズニー入園券 ギフト需要狙う

オリエンタルランドは3月末、東京ディズニーリゾート(TDR、千葉県浦安市)で使える入園パスポートなどをオンラインで贈れるサービスを始めた。相手の住所を知らなくても、SNS(交流サイト)やメールを通じて届けられる。TDRで友人や恋人同士で記念日を祝う来園者は年々増えており、ギフトで需要喚起を狙う。

「ディズニー・オンラインギフト」は無料対話アプリのLINEのほか、SNSのフェイスブック、ツイッターやメールを活用している。ギフトを贈りたい人は、専用ホームページから商品と送る手段を選ぶ。相手の住所に直接送ることもできる。

SNSやメールを使う場合、ダイレクトメッセージなどで相手にギフトの受け取り画面が開くURLを送る。受け取った人はスマートフォン(スマホ)やパソコンでURLを開いて、受け取りたい住所を入力する。日時の指定もできる。

送り主はインターネット上でギフトの購入手続きをする。パスポートは大人7400円、中人6400円、小人4800円と通常と同額だ。有効期間は1年間で、一度に10枚まで贈れる。

SNSを通じたプレゼントは「ソーシャルギフト」と呼ばれる。一般的には500~1000円程度と気軽に贈れる金額のものが多い。

そのため、TDRで土産物の購入や飲食に使える500円と1000円のギフトカードもそろえた。同カードは、これまでは法人向けにしか販売していなかった。有効期限はなく贈り物に向いている。

2017年3月までの限定で、東京ディズニーシー(TDS)の開業15周年を記念したデザインの1000円券も売っている。発売からまだ3週間ほどだが、限定カードは既に増刷するほど人気があるという。

最大50文字のデジタルメッセージも送れる。1つのギフトにつき最大30人分のメッセージを付けられ、「寄せ書き」にもなる。これまでの郵送で送るギフトパスポートは、年間で15種類の定型メッセージから選ぶだけだった。

マーケティング戦略室チーフリーディングスタッフの板倉譲氏は「誕生日やプロポーズの際に贈る人もいると見込む」と話す。板倉氏は記念日に来場する顧客のマーケティング分析を手掛けており、「ここ数年で記念日に来場するゲストは増えている」。10年ごろから戦略的に取り込もうと着目し始めた。

ソーシャルギフト市場は右肩上がりだ。民間調査会社の矢野経済研究所(東京・中野)によると14年度に82億円だった市場(発行金額ベース)は20年度には14倍の1110億円まで拡大すると予測する。

TDRでもソーシャルギフトを取り入れれば、記念日の来場を促進できると考えた。TDRの中心顧客の20~30歳代女性はSNSの利用率が高く、親和性が高い。

意識したのはTDRらしい独自色をいかに出すかだった。「物を贈るよりも、パーク内での体験を贈るのがTDRらしさだ」。購入サイトのイメージ画像はミッキーマウスたちは小さめで、恋人や友人とパークで遊ぶシーンを多く盛り込んだ。

体験型を重視する「コト消費」の伸びは今後も続きそうだ。ネットをうまく活用してリアルへと消費者の足を向けさせる取り組みは、他のレジャー施設にとっても参考になりそうだ。

(広沢まゆみ)

[日経MJ2016年4月13日付]

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