2019年5月26日(日)

G7は中ロへの戦略の擦り合わせ急げ

2016/4/12 3:30
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世界各地でテロや紛争などの危機が広がっている。これらの問題に対処するには、日米欧がさらに緊密に協調し、ロシアと中国から責任ある行動を引き出していかなければならない。

閉幕した主要7カ国(G7)外相会合が映し出したのは、まさにこんな現実だ。

過激派組織「イスラム国」(IS)などによる大規模テロ、混乱が続くシリアやウクライナ情勢、そして緊張が高まる南シナ海の現状。外相会合ではこれらの問題が焦点となり、解決に向けて協力していく姿勢を改めて確認した。

共同声明に加えて、軍縮・核不拡散に絞った「広島宣言」、海洋安全保障に関する声明なども採択し、ひとまず、G7の結束を示せたといえるだろう。

さらに、7カ国の外相は広島市の原爆がもたらした惨状を伝える平和記念資料館(原爆資料館)や原爆ドームも訪れ、原爆慰霊碑に献花した。

戦後、米国の現職閣僚が同公園を訪れるのは初めてで、オバマ大統領も訪問を検討しているという。「核なき世界」をめざす大きな一歩として実現を期待したい。

もっとも、いくらG7が結束しても、それだけでは世界の危機は解決しない。多くの問題の行方は、中国やロシアの出方が重要なカギを握っているからだ。

中国は南シナ海問題、ロシアはウクライナ危機を引き起こしている当事国だ。中国は南シナ海に軍事拠点をつくろうとしており、ロシアはウクライナとの軍事的な緊張を続けている。

これらの行動をやめさせるため、G7はさらに中ロへの働きかけを強めなければならない。シリアや北朝鮮問題への対応でも、それぞれロシアと中国に働きかけ、より多くの協力を引き出していくことが大切だ。

その意味で、外相会合が残した宿題も少なくない。どのように中ロに向き合い、責任ある行動を促していくのか、G7内のズレも浮き彫りになったからだ。

ウクライナ問題では、ロシアに極めて厳しい態度をとる米国と、ロシアとの対話も必要だと考える日欧に温度差がにじんた。南シナ海問題でも、地理的に遠く離れた欧州と、中国の軍拡に直接さらされる日米の切迫感には違いがある。5月下旬の首脳会談に向けて調整を進め、この溝を埋める努力を尽くしてほしい。

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