2019年7月17日(水)

クラウドファンディングで地域おこし 地銀が支援
野呂 エイシロウ(放送作家・戦略PRコンサルタント)

2016/4/14 6:32
保存
共有
印刷
その他

個人から広く小口投資を募るクラウドファンディング。「CDデビューしたい」「書籍を作りたい」などという夢を実現化するためのツールだと、ボクは感じていた。

そんなクラウドファンディングには企業も注目。サイバーエージェント・クラウドファンディング(東京・渋谷)が運営する「Makuake(マクアケ)」では、デザイン家電のアマダナがアナログレコードプレーヤーのファンドを創設。瞬く間に900人近い支援者が集まって、制作へと至った。そして今は、地方自治体や地方銀行が目をつけはじめた。

例えば北海道北斗市では、昨年8月に引退した寝台列車「北斗星」の車両を保存活用する費用を賄うため、クラウドファンディングで1000万円を調達するプロジェクトがある。車両をカフェや宿泊施設として生かす予定だという。

ミュージックセキュリティーズの「セキュリテ」は地方特産品などに投資できる

ミュージックセキュリティーズの「セキュリテ」は地方特産品などに投資できる

そんな中、京都では、「京町家まちづくりクラウドファンディング支援事業」の指定事業者に、ミュージックセキュリティーズ(東京・千代田)が選ばれた。

同社は音楽のアーティスト発掘をするファンドを運営してきたが、2007年から地場の産業や技術への投資に参入。東日本大震災では被災地応援ファンドを立ち上げ、産業の復活に寄与したことで知られる。

京都の事業は、公益財団法人がファンド組成に必要な初期費用を助成するほか、目標額の2分の1以上が集まった案件には、最大で300万円の支援投資を行うという試みだ。京町家は情緒あふれているが、修繕など維持するのが大変である。それをクラウドファンディングの力を借りて行おうという試みだ。

1950年以前に伝統構法で作られた町家が対象で、空き家であるなど様々な条件がある。そんな物件を、飲食店や宿泊施設などに活用したい事業者を募集する。審査・選定後にファンディングが行われる予定で、現在準備を進めている。

さらに、ミュージックセキュリティーズは地方銀行との提携を進めている。同社が技術を提供し、地銀のインターネットバンキングのサイト内で、クラウドファンディングに投資できるようにする。投資信託や保険商品を購入するように、投資案件を選べる訳だ。同社は案件の審査でもサポートする。

のろ・えいしろう 愛知工大工卒。学生時代から企業PRに携わり、出版社を経て日本テレビの「天才・たけしの元気が出るテレビ!!」で放送作家デビュー。戦略PRコンサルタントとしても著作多数。愛知県出身、46歳。

のろ・えいしろう 愛知工大工卒。学生時代から企業PRに携わり、出版社を経て日本テレビの「天才・たけしの元気が出るテレビ!!」で放送作家デビュー。戦略PRコンサルタントとしても著作多数。愛知県出身、46歳。

「地域での銀行の信用を生かせば、シニアなど新たな投資家を掘り起こせる」(ミュージックセキュリティーズの小松真実社長)。銀行の通常の融資では審査を通せない案件でも、クラウドファンディングを通じて資金調達をサポートでき、新製品の開発や事業継続に役立てられる。

また、調達資金で開発した商品を、地元や既存流通に流すのではなく、ミュージックセキュリティーズの力を借りながら、日本全国の人にPRし、販売していく仕組みも準備しているという。

今回の技術提供で、銀行は出資者の募集手数料を得られる。新たな収入源としても有効だ。地域の産業にとっても、地方銀行にとってもメリットのある話と言えよう。

この取り組みは月内に始める。「事業者紹介という意味では、既に全国60の金融機関と提携している」と小松社長。クラウドファンディングの技術提供でも、30ほどの金融機関と提携を目指す。

クラウドファンディングにはもちろんリスクもあるが、夢や地方の活性化に一役買いたいという思いが後押ししているのかもしれない。

[日経MJ2016年4月10日付]

保存
共有
印刷
その他

電子版トップ



[PR]

日本経済新聞社の関連サイト

日経IDの関連サイト

日本経済新聞 関連情報

新しい日経電子版のお知らせ

より使いやすく、よりビジュアルに!日経電子版はデザインやページ構成を全面的に見直します。まず新たなトップページをご覧いただけます。

※もとの電子版にもすぐ戻れます。