市進、国語授業を外販 表現力鍛えるニーズ高く

2016/4/2 12:00
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学習塾大手の市進ホールディングス(HD)はネット配信による映像授業で、国語を強化している。3月から同社の学習塾からよりすぐった講師による、中学校の勉強をフォローする映像授業の配信を他社の学習塾向けに始めた。2020年度からの新大学入試では表現力や思考力がより重視されるため、教育ニーズが高まると判断した。

市進HDの映像授業では国語のコンテンツを充実させている

市進HDの映像授業では国語のコンテンツを充実させている

市進HDの映像授業は同社の「市進学院」の塾生向けからスタートし、06年からは他社の学習塾に外販を始めた。

映像授業は小学生から高校生までを対象に、1コマ単位なら1万以上のコンテンツをそろえている。映像授業では止めて繰り返し見ることができ、集団授業で分からないところをフォローできるといった利点がある。

授業は目的別に3つに分かれている。定期テスト対策の「ベーシックウイング」や大学受験対策の「ウイングネット」、難関大学向けの「Z会の教室映像」だ。難関大学向けは資本提携している増進会出版社(静岡県長泉町)によるもの。料金は契約した各学習塾が決めるが、おおむね2教科で月2万円程度という。

国語強化策として、まず3月から中学校の国語の勉強をフォローするコンテンツの配信を始めた。「市進学院」の講師の中から選び出された優秀な国語の講師が20分、他社の教科書準拠教材を使って教える。主要な教科書に対応した内容だ。

一般的に、国語は英語に比べ生徒が危機感を持ちづらい科目だとされる。国語の文章問題の勉強では、文中の要点をつかみ、隠れている答えを把握できているかがポイントとなる。映像授業で何か特別な指導をするわけではなく、問題を解きながら文章にマルを付けたり、線を引いたりする読解のコツを手ほどきする。

市進HDが国語のコンテンツを充実させる背景には大学入試改革がある。大学入試センター試験に代わって20年度に「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」が導入される。知識の量だけでなく、知識を活用する思考力や判断力、表現力も重視されるようになる。

またディベートやディスカッションを取り入れた授業スタイルが注目を集めている。市進HDの子会社で、映像授業事業を手がけるウイングネット(東京・文京)の荻原俊平社長は「いまは英語の比重が高まっているが、今後重視されるようになる表現力や思考力は国語力そのもの」と話す。

国語と映像授業を組み合わせたのは、教育サービス業界では動画を使った学習が主流になりつつあるためだ。市進HDの映像授業の導入先は現在1500教室以上にまで広がっている。映像授業ではナガセの「東進衛星予備校」や河合塾の「河合塾マナビス」の知名度こそ高いが、中学生向けの定期テスト対策までフォローできる内容はまだ少ない。市進HDは独自色を打ち出し、今年度は1割強にあたる150超増やす目標だ。

講師の人材不足に伴い映像授業のニーズは今後ますます高まりそうだ。既に人材不足は顕在化しており「個別指導塾が増え、講師の奪い合いが進んでいる」(市進HDの下屋俊裕社長)。個別指導をうたいながら講師が足りないため、実際には10人の生徒を相手に「グループ学習」をしている学習塾もあるという。

新大学入試や人材不足など教育を取り巻く環境の変化に機敏に対応し、質の高い学習効果を得られる授業モデルの構築をめざす。(新井惇太郎)

[日経MJ2016年3月30日付]

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