大学入試「新テスト」は練り直しが必要だ

2016/3/26 3:30
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「最終報告」なのに曖昧な内容である。大学入試センター試験に代わる新たな共通テストについて、文部科学省の「高大接続システム改革会議」がまとめた案のことだ。記述式試験の導入にこだわるあまり、当初とは改革の方向がずれているのではないか。

改革会議は報告で、2020年度からの新テスト導入を明記した。この春、中学2年になる生徒たちの年代から対象になる運びだ。差し迫った話だが、目玉となる記述式試験についての具体策は相変わらずはっきりしない。

「記述式」導入の背景には、センター試験のようなマークシート式の試験だけでは思考力や判断力、表現力を深く問えないという認識がある。たしかにマークシート式の弊害はかねて指摘されており、「書かせる試験」が理想であることは言うまでもない。

とはいえ数十万人が受けるテストで、限られた期間に答案を公平に採点できるのか、質の高い問題作成を毎年続けられるか。そんな疑問が噴き出し、文科省もいちいち対応に追われてきた。

そこで出てきたのが、マークシート式と「記述式」の試験日程を切り離す、採点は民間委託や人工知能(AI)の活用でしのぐ、といったアイデアだ。

こうした案は最終報告にも盛り込まれたが、具体的な手立ては示せていない。「記述式」にこだわったため、身動きが取れなくなっているのではないか。

そもそもセンター試験から新たな共通テストへの転換は、政府の教育再生実行会議が提起したのが始まりだった。従来の一発勝負型の選抜から、複数の受験機会を提供する資格試験的なものにスリム化する。そのうえで各大学の個別試験を抜本改革する。こんな方向性だったはずだ。

しかし改革会議では「記述式」ありきの議論が続いたため、それに辻つまを合わせようと生煮えの対応策が次々に浮上した。当初の理念とは離れて資格試験的な性格は薄らぎ、受験機会複数化の議論も置き去りになった。

文科省は専門家チームで検討を重ね、1年ほどで成案を得るというが綱渡りが続くだろう。

大学入試改革は教育全体への影響が極めて大きい。それだけに曖昧な部分を残したままの見切り発車は許されまい。スケジュールの再設定も含め、具体策の練り直しを考えるべきである。

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