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都心でオンライン診療 新六本木クリニックの挑戦

2016/3/26 12:00
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 新六本木クリニック(東京・港)はインターネットのビデオチャットで病院と患者とを結ぶオンライン診療を始めた。へき地などに限られていた遠隔診療が昨年夏に事実上、全面解禁されたためだ。医師の立場から遠隔診療の諸問題を解決し、ビジネスモデルの構築を目指す。

新六本木クリニックでは、インターネットを介した動画でも診察を受けられる
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新六本木クリニックでは、インターネットを介した動画でも診察を受けられる

 2月8日に開業した新六本木クリニックは医療情報サイトなどを運営するメドレー(東京・港)が開発したシステムを利用し、オンライン診療を始めた。

 パソコンのカメラを使って、来院できない患者向けに遠隔診療のサービスを提供する。希望に応じて医薬品を郵送する。診察室にパソコンが設置される風景は珍しくないが、パソコンのカメラで患者と動画でやりとりするのはめったにない。

 遠隔診療は従来、へき地向けなど一定の制限があった。2015年6月に政府の規制改革会議で推進策を打ち出すことが求められ、同年8月に厚生労働省から実質的な解禁を通達した。これによりネットを使って、離れた場所で診療する病院が都心部でも出てきた。

 新六本木クリニックの来田誠院長は遠隔診療に可能性を感じる医師の1人だ。「診察室に座っているだけでは、病院に来る必要のある患者に声をかけられない」。精神科医として、こうした問題意識を以前から持っていた。

 だが実現には課題が山積していた。医師が患者の下を訪ねるようにすると、診られる患者数は減ってしまう。医師不足が問題視される中で、診療効率は下げられない。かといって、電話では相手の表情やいでたちを確認できない。

 ネットを介して動画で診察室の中と外をつなげば調子を崩して外に出られない人や、医療機関を受診する時間を取れない人にも治療を途切れさせないようにできる。ただ既存のシステムでは集金などの問題もあった。

 来田院長が壁にぶち当たっていた時に、旧知の仲だったメドレーの瀧口浩平社長に飲みながら相談した。すると瀧口社長も同じ思いを抱きながら開発に踏み切れていなかったことが分かった。

 そこでメドレーは来田院長の意見を取り入れながら予約やビデオ通話システム、クレジットカードを用いた診療費の決済システムなどを一体化した「CLINICS」(月5万円から)を開発。来田院長は遠隔診療をするために新六本木クリニックを開業した。

 クリニックでは対面で診察し問題がなく、定期的に来院していた患者を遠隔診療の対象としている。「予約していたのに来院できなかった患者の中には、それを機に足が遠のいてしまう人がいる。そのような患者は薬が切れて病状が悪化し、治療が長引きかねない」(来田院長)。そのためにもオンラインでもつながっていることが重要だという。

 遠隔診療を巡っては否定的な意見もある。診療しないで薬だけ出す無診療投薬の温床にもなりかねない。現在は遠隔で診療した保険診療のうち一部の報酬しか請求できず、医療機関にとっては収入減となることも問題だ。

 メドレーはCLINICSを導入する病院を慎重に選び、複数の医師や弁護士などからなる倫理委員会を設置して、病院へアドバイスしていく予定だ。新六本木クリニックでは遠隔の際は診療の時間を短くしたり、予約料を別途取ったりして最低限の収入は確保する。

 遠隔治療は始まったばかり。来田院長は「結果を示すことで、将来的に保険診療で報いられるようになれば」と話す。(山崎大作)

[日経MJ2016年3月23日付]


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