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原発止めた地裁判断への疑問

大津地裁が関西電力高浜原子力発電所3、4号機(福井県)の再稼働差し止めを命じ、関電は運転中だった3号機を停止した。稼働中の原発が司法の判断で止まったのは初めてだ。

同原発は原子力規制委員会の審査に合格している。住民らが起こした今回の仮処分申請では規制基準の妥当性などが争点になった。大津地裁は「基準を安全の基礎と考えるのはためらわれる」と疑念を呈し、関電の地震対策も「断層調査が不徹底」と断じた。

原発の安全性の判断は専門的な議論になりがちで、これまで多くの裁判所が規制当局の判断を尊重してきた。だが東京電力福島第1原発の事故で規制当局への信頼は揺らいだ。過去の判例に縛られない司法判断があってもよい。

とはいえ、大津地裁の決定には釈然としない点もある。

ひとつが規制基準についての地裁の認識だ。基準は福島事故を踏まえ、重大事故のリスクを最小限に抑えるためつくられた。地裁は「事故の原因究明が道半ばで(基準を定めた)規制委の姿勢に不安がある」としたが、規制の意味について認識不足ではないか。

断層の調査が十分かどうかも科学的な判断は難しい。どこまで徹底すれば地裁は納得するのか。

高浜原発をめぐっては福井地裁が昨年4月に差し止めを命じたが、12月になって取り消した。このときには事故のリスクを許容できるかどうかが争点になった。

司法は何を目安に安全性を裁くのか。原発停止の仮処分は即時に効力をもち国民生活や経済活動に悪影響を及ぼしかねない。判例を重ねて目安にする必要がある。

一方、関電や国が重く受け止めるべき点も多い。高浜4号機は2月末に再稼働したが、直後に緊急停止した。大津地裁が指摘したように、関電は安全確保に厳しく向き合っているのか、心配だ。

事故が起きたときの住民避難にも課題が残る。「自治体まかせにしてはならない」という地裁の指摘に、国は耳を傾けるべきだ。

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