2019年8月26日(月)

国と沖縄県は今度こそ真摯な話し合いを

2016/3/5 3:30
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国と沖縄県が米軍普天間基地の移設を巡り争っていた裁判で和解が成立した。同じ行政機関同士が延々と訴訟合戦を続けてよいことは何もない。当然の判断である。この和解をどうやって最終解決につなげるか。国と県は真摯に話し合わねばならない。

和解を踏まえ、国は移設工事を中断した。移設先である沖縄県名護市辺野古では反対派住民と機動隊などが日々、小競り合いを続けており、流血の事態が懸念されていた。冷静になるよい機会だ。

安倍晋三首相は和解を決断した一方で、「辺野古への移設が唯一の選択肢」との姿勢は崩さなかった。移設を拒む県と折り合うのは容易ではなかろう。国と県は昨年夏に集中協議期間を設けたが、決裂に終わった経緯がある。

少し話をして「またダメでした」では「円満解決に向けた協議」を促した和解の精神に反する。沖縄県民の基地負担は過重であり、軽減すべきであるとの認識では双方とも異論はない。辺野古への移設の是非だけでなく、もっと大きな枠組みで手を携える方策を考えるべきだ。

少なくとも現状より一歩踏み出したことが目に見える妥協案を双方が提示する必要がある。

国は沖縄本島南部の全ての米軍施設の段階的返還を進める方針だが、いろいろな条件付きのため、時間がかかっている。普天間基地の移設作業の進捗状況にかかわらず、これらの施設の早期返還が実現すれば、県民の感情を和らげる一助となろう。

移設工事を中断した結果、国が約束した普天間基地の2019年の運用停止、22年の返還は難しくなった。市街地にある同基地を使い続けるのであれば、周辺住民の危険性を軽くするための手段を総動員すべきである。

北朝鮮の暴走など東アジアの安保環境は緊迫の度を強めている。移設の遅れによって、在日米軍と自衛隊との連携に支障を来すことがないようにもしたい。

和解内容をよく読むと「国と県の協議は別の訴訟の判決が出るまででよい」と受け取れなくもない。だからといって国が協議を形だけで終わらせれば、事態はかえってこじれかねない。

和解成立を受けて安倍首相は沖縄県の翁長雄志知事と会い、「基地負担の軽減を進めるのは国の責任だ」と明言した。この言葉を忘れないでほしい。

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