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原発の安全対策問う強制起訴

福島第1原子力発電所の事故をめぐり、東京電力旧経営陣の刑事責任が問われることになった。必要な津波対策を怠って事故を招き、避難を余儀なくされた病院の入院患者らを死傷させたとして、勝俣恒久元会長ら3人が業務上過失致死傷の罪で強制起訴された。

強制起訴は、市民から選ばれた検察審査会が出した議決にもとづくものだ。東京地検は「具体的に危険を予見できたとはいえない」として3人を不起訴処分にしていたが、検察審は2度にわたって「大津波を予測し、事故を防ぐことはできた」との判断を示した。

福島の事故では放射性物質が広く拡散し、いまなお10万人近くが避難生活を続けている。これまでの政府や国会による調査でも、どうして事故が防げなかったのか判然としないままで、誰も責任をとった形になっていない。

強制起訴はこうした現状に対する率直な「市民感覚」の表れといっていい。政府や電力業界は強制起訴を重く受け止め、原発の安全対策にこれまで以上に真摯に向き合い、国民に向けた説明を尽くしていく必要がある。

今後の裁判では、「最大15.7メートルの津波の可能性がある」とした試算を3人がどう受け止めていたかや、浸水による電源喪失を防ぐ現実的な対策がとれたのかどうか、などが争点になるとみられる。裁判の推移を見守り、今後の安全対策にいかしていきたい。

一方で強制起訴をめぐっては、過去の裁判例の積み重ねなどと異なる基準でなされている、といった問題点が指摘されている。検察とは別の観点から起訴の必要性を判断することこそ制度の根幹だが、二重の起訴基準が併存したままでよいかは議論が必要だ。

検察審の審議を専門家が法律面で支える体制が乏しいことや、起訴される側からの事情聴取が義務付けられていないことなど、ほかにも課題はある。法廷でのこの事件の審理とは別に、強制起訴のあり方を見直し、より信頼性の高い制度にしていくべきだろう。

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