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ドローンやAIより難問 アマゾンも悩む段ボール箱

瀧口 範子(フリーランス・ジャーナリスト)

最近は、段ボール箱を広げて平らにする作業ばかりやっているような気がする。段ボール箱は、オンライン・ショッピングで買った商品が入っていたものだ。大小さまざまな段ボール箱を床に置いてカッターで切り開き、美しく平らにすることがとても上手になった。少なくとも毎週数個の箱をリサイクル用ゴミ箱に入れる。

アマゾンは包装に関するアンケートを実施(米国での配達の様子)

私のような人々がたくさんいるからだろう。段ボール箱がそろそろ問題になり始めた。最近は地元新聞や大手メディアが、ゴミ収集施設であふれ返る段ボール箱の様子を伝えている。リサイクルされているのがせめてもの救いだが、無数の箱が日々、配送車で全米の家々に配達されているさまを想像すると、このままでいいのだろうかという気になる。

段ボール箱問題は、オンライン・ショッピングの人気によるものだが、ショッピングの中身の変化にもよっているのではないかと思う。つまり、人々はごく日常的な品々もオンラインで買うようになってきたからだ。

というのも、最近のアメリカでは、ショッピングに行くよりオンラインで買い物をした方が何であれ確実に安くなっているのだ。以前は何か「気に入ったもの」を見つけて買うのがオンライン・ショッピングだったが、今や日用品や消耗品もこれで済ませる。せっけん、シャンプー、洗剤の類い、化粧品やクリームなど。近所を歩くと、ゴミ収集日には段ボール箱を束にして出している家もたくさん見かける。

段ボール箱問題は、箱の数もさることながら、依然として包装の仕方にもびっくりするようなことがいろいろある。段ボール箱がパンパンになるほど商品が詰め込まれていればまだしも、たいていは1、2点がかなり大きめの箱に入れられ、クラフト紙を丸めた詰め物と共に送られてくる。箱も詰め物も家で再利用できればいいが、用途も分からずたまるだけ。したがってやはりゴミ箱へ。

「コンシューマリスト」というサイトには、読者から送られてくる「トンデモ包装」の写真を報じたセクションがあり、けっこう楽しめる。

たとえば、事務用ペンの5本セットを45個注文したところ45個の別々の段ボール箱で配達された例。詰め物として使われるプラスチックのバブルが、さらにクラフト紙でくるまれていたという例。ほんの小さなものが大きな箱の底の方に入れられてくるのは、もう当たり前のようだ。事務用ペンにはクレヨン箱のバリエーションもあって、50個を注文したら50箱で届いたという。

たきぐち・のりこ 上智大外国語(ドイツ語)卒。雑誌社、米スタンフォード大客員研究員を経てフリージャーナリストに。米シリコンバレー在住。大阪府出身。

アマゾンは、こうした過剰包装を解決する姿勢なのだろう。配送の後、包装に対するアンケートに答えてほしいとメールが送られてくることがある。何年も前から始まっており、何度か答えたものの目立って改良されているという印象はない。

段ボール箱問題は、一刻も速く品物を受け取りたいという消費者のスピード感にも影響を受けている。すぐに欲しい場合は、複数の商品がそろうのを待たずに個々に発送されるからだ。時代は明らかに1日で欲しい、いや2時間以内にといった方向へ動いている。

商品がすぐ届くよう、ロジスティクスで解決されてきたことは目覚ましいが、その一方で段ボール箱問題は悪化するばかりなのである。これを解決する起業家にぜひ出てきてほしいところなのだが、今のところそれに挑戦する例は見当たらない。ひょっとするとこれはドローンより、人工知能より、もっと難しい問題なのかもしれない。

[日経MJ2016年2月29日付]

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