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米ネット専業アパレル 店舗出店で顧客の心つかむ

(三浦茜)

1月、ファッションブランドが店を連ねるサンフランシスコの繁華街に期間限定でセレクトショップがオープンした。店名は「ModCloth Fit Shop(モドクロスフィットショップ)」でヴィンテージ風の洋服を扱う。

モドクロスの実店舗は試着するだけで、その場で購入できない

店を運営するのはモドクロス。2002年創業の、電子商取引(EC)に特化したアパレル会社だ。人気歌手のテイラー・スウィフトさんらセレブが愛用していることもあり、その人気は米国以外の国にも広がっている。

ヨーロッパをはじめ世界各地のインディーズブランドを買い付けているほか、独自商品も販売している。XXSから4Xまで11段階と豊富なサイズ展開も魅力の1つだ。

「モドクロスフィットショップ」で話題となっているのが、スタイリストが1対1で洋服選びの手伝いやコーディネートを提案してくれる無料サービスだ。1人向けの1時間半コースとグループ向けの2時間コースがある。早速、ネットで事前予約してみた。

筆者が選んだのは1時間半コース。普段着ているサイズや服の雰囲気などを入力し「イベント用の服が欲しい」「普段着る服を探している」などから来店目的を選ぶ。スタイリストがECサイトでの購入履歴を閲覧することを許可するかの問いには「する」にした。

来店すると担当のスタイリストが待っていた。スタイリングシートとペンを渡され、「まずは店舗内を一周し、気に入った服があればタグの商品番号をひかえてほしい」と言われる。

店内は10分足らずで一通り見られる広さだ。スタイリストが過去の購買履歴などからあからじめ選んでいた服と著者が選んだ服を試着する。フィット感や色などをスタイリストに相談できる。1時間半とは、試着室を自由に使うことができる時間のことのようだ。

米国では試着の際に店員があれこれ相談にのってくれることはほとんどない。売り場も試着室もとても広いので、一人ひとりにきめ細かく対応することが難しいからだろう。その意味で、モドクロスでの体験は貴重だった。2着を購入することにした。

みうら・あかね 上智大学卒。サンフランシスコ在住。米国でアーリーステージのスタートアップ投資を行うスクラム・ベンチャーズのマーケティングマネージャー。

ただし、店では商品を購入し持ち帰ることができない。スタイリストと一緒に店のパソコンを使い、モドクロスのECサイトで注文する。ウェブ注文なので店に在庫を置く必要がなく、売り場の維持管理コストを抑えられるし、レジがないので店員の数も少なくて済む。これが「フィットショップ」という名のゆえんであろう。

米国ではECサイト発のフィットショップ型の店の台頭がめざましい。男性ファッションサイトの「ボノボス」、メガネやサングラス販売の「ワービーパーカー」も同様の店を持つ。

日本ではそもそも独自の商品を持つEC特化型の人気アパレルが少ないため、こうした取り組みはほとんどない。実店舗を展開しているアパレルだと、ECだけに誘導するような大胆な戦略をとりにくいだろう。

だが、サイズ感が分からず試着もできないECサイトの難点を補いながら、実店舗で普段できない買い物体験ができるメリットは大きい。モドクロスにとってもブランド力の強化につながる。

日本では各社ともネットとリアルを融合させたオムニチャネル戦略に力を入れている。モドクロスの試みは日本でも参考になりそうだ。

〔日経MJ2016年2月26日付〕

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