2019年5月24日(金)

1票の格差是正へ自民は答申受け入れよ

2016/2/25 3:30
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自分さえよければ、他人はどうなってもよいということか。衆院の選挙制度改革における自民党の抵抗ぶりをみていると、そう断じざるを得ない。第三者機関の答申に沿った公職選挙法の改正を今国会で実現する。それこそが最大政党が果たすべき責務である。

最高裁は2012年と14年の衆院選の1票の格差を違憲状態と判断した。格差是正は待ったなしの課題である。

与野党協議の不調を踏まえ、有識者らによる第三者機関「衆院選挙制度調査会」(佐々木毅座長)を設けた経緯を考えれば、その答申は重い。自民党と共産党を除く主要政党は若干の温度差はあれ、答申受け入れの方針だ。

ところが自民党は答申はこうも解釈できるなどと異論を唱え、抵抗を続けている。要するに答申の柱である小選挙区の7増13減が嫌なのだろう。その代わりに提案したのが、影響を受ける現職議員が少ない0増6減という案である。

いまの定数配分は都道府県に各1議席を与え、残りを人口比例で配分する「1人別枠方式」に基づく。単純に6減する自民案ではこの方式が完全に解消されたとはいえない。別枠方式の廃止を求めた最高裁判決と整合性がとれない。

答申が採用したアダムズ方式は小数点以下を切り上げることで、1人別枠方式ほどでないにせよ、人口の少ない都道府県に厚めに議席配分する計算方法だ。第三者機関は自民党が求める「地方の声の反映」に一定の配慮をしたといえる。そのアダムズ方式を否定し、1人別枠方式に固執するのは党利党略が過ぎる。

安倍晋三首相は「答申を尊重する」という。軽減税率その他の政策課題が「官邸主導」で決着したのに選挙制度では首相の意向が通らないのはどうしたことか。候補者調整の責任者である谷垣禎一幹事長ら執行部の責任は重大だ。

自民党は当初、抜本改革を20年の国勢調査の結果が出て以降に先送りしようとし、世論の批判にさらされた。そこで0増6減案を持ち出してきたわけだが、これでもまだ不十分である。

批判されるたびに後ずさりしていると、最後に答申を受け入れたとしても抵抗していたという途中経過だけが有権者の記憶に残る。連立政権を組む公明党も今回は自民党に歩み寄るつもりはないようだ。一刻も早い答申受け入れこそが自民党の唯一の選択肢だ。

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