2018年7月23日(月)

話題沸騰も成約「ゼロ」、ヤフーの不動産フリマ

2016/2/27 12:00
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 個人がインターネットを使ってマンションの売買をすることができるサイト「おうちダイレクト」を手掛けるヤフーとソニー不動産(東京・中央)。仲介業者頼みの現状に風穴を開けられると注目を集めたが、サービス開始から3カ月がたって成約に至ったケースはない。春商戦に向けて知名度の向上に必死だ。

 おうちダイレクトは自分が住むマンションの売却を検討するオーナーがサイト上に登録すれば、購入希望者とネット上で情報をやりとりでき、売買交渉できる。昨年11月に始まった。

 現在登録できる物件は今月上旬時点で東京23区のみで、足元では二十数件が掲載されている。「サイトに登録してもらえる物件数は想定よりもやや下回る」。ヤフー不動産でおうちダイレクトの責任者を務める山口隆志さんはこう打ち明ける。

 物件の入れ替えはあるが、登録数そのものは開始当初と変わっていない。当初は価格や登録者がタワー物件などに偏ると思っていたが、いざ始めると、5千万円から1億円を超える物件まで様々あり、売却希望者も20~40代と幅広い。

 おうちダイレクトは売買契約に至るまでのすべての手続きがネット上で完結できると誤解されていることが、利用の低調の理由の1つであるようだ。実際はマンションを見学できたり売買条件を調整したり、決済や物件の引き渡しなどは専門スタッフが対応する。こうした実務はソニー不動産が担っている。

 まずは「サービスの理解度を高める必要がある」として、昨年12月からサービスを理解してもらう目的で都内でセミナーを開催している。毎月のペースで開いており初回は50人が参加した。その場で物件をサイト上に登録した参加者もいた。

 本格的な引っ越しシーズンの到来を前に、今月に入ってから物件の見学を求める問い合わせが相次いでいる。サイトのページビューも多い。

 あとは購入を後押しできるような方策が打てないかどうか検討中だ。例えば購入者へのインスペクション(住宅診断)のサービスを実施し、中古物件にありがちな品質不安を解消してもらう。

 おうちダイレクトは基本的に仲介店舗の運営会社のビジネスモデルと同じだが、消費者にとってはおうちダイレクトの方に魅力を感じる可能性が高い。

 おうちダイレクトの場合、売り主がヤフーなどに支払わなければならない手数料は無料で、買い主から「成約価格の3%+6万円」を受け取るようにしている。これに対して、仲介業者は売り主からも最大で同額分をもらうからだ。

 そのため仲介業者がこのサービスを意識するのは当然で、最大手の三井不動産リアルティの川上哲司流通企画部長は「どの程度のインパクトがあるのか、今後も注視していきたい」と話す。

 IT企業がネットを使って中古マンションの流通市場の需要を奪おうとしている――。ある仲介業者の社員はヤフーとソニー連合の台頭に危機感を募らせている。

 ただヤフー自体は既存の勢力と戦うという意識はなく、「ネットを使って気軽に売却できる環境を用意すれば潜在的な顧客層を開拓できるのではないか」といい、そもそもターゲットが違うと強調する。

 「新築信仰」が強い日本ではこれまで中古マンションの売買取引は必ずしも活発ではなかった。成約件数はゼロだが、おうちダイレクトは旧態依然とした業界に一石を投じることになりそうだ。(岩本圭剛)

[日経MJ2016年2月24日付]

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