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フェイスブックの対話アプリ AIでアップル対抗

(三浦茜)

フェイスブックがスマートフォン(スマホ)用のメッセンジャーアプリを出したのは2011年。14年からはスマホでメッセージを送受信するには、このアプリをインストールしなければならなくなった。少々強引な手法に賛否両論はあったが、現在は全世界で8億人以上が利用している。フェイスブックユーザーの約半分にすぎず、まだまだ伸びしろがある。

フェイスブックの「M」は、米アップルの「シリ」や米グーグルの「グーグルナウ」の対抗馬になるといわれている

最近フェイスブックがこのメッセンジャーアプリの機能を急速に拡充している。まだ米国だけの話だが、メッセージの送受信の枠を超えている。

直近では昨年12月に米ウーバーとの提携を発表し、フェイスブックのメッセンジャーから直接配車を依頼できるサービスを始めた。筆者も実際に使ってみた。メッセンジャーで友人と今夜行く予定のレストランの場所をやり取りし、友人から送られてきた住所を長押しすると「リクエスト ア ライド」と表示され、車を呼ぶことができた。

これまでは住所をコピーし、ウーバーのアプリを開いてから、その住所を目的地の部分にペーストしなければならなかった。ウーバーの運転手とのやり取りもメッセンジャーで完結する。いくつものアプリを行き来する必要がなく、配車の手間が大幅に省けた。

個人送金の機能も便利だ。例えば、飲み会で立て替えた金額を友人に伝え、メッセンジャー経由で支払ってもらえる。メッセンジャーは銀行口座につながっているので(利用開始時に登録が必要)、支払われたお金がそのまま銀行口座に入金される。「今度会った時に」ということもないので取りっぱぐれもない。

ビジネスシーンでの利用も広がっている。フェイスブックの認証を使って企業が顧客にメッセージを送れる。電子商取引(EC)サイトで買い物した際に、メールではなくメッセンジャー経由で購入完了の連絡と商品発送の連絡が来ることがある。

企業が利用するには審査があるようだが、基本的に米国の流通サービス会社なら申し込める。メールのように埋もれることもなく、非常にパーソナルな空間で顧客とやり取りできる。

みうら・あかね 上智大学卒。サンフランシスコ在住。米国でアーリーステージのスタートアップ投資を行うスクラム・ベンチャーズのマーケティングマネージャー。

最後に今、最も注目されている新機能がパーソナルアシスタント「M」だ。人工知能(AI)を利用したアシスタントサービスで、米アップルの「シリ」や米グーグルの「グーグルナウ」の対抗馬になるといわれている。他社と異なるのは質問に答えるだけでなく、日々の買い物やギフトの購入、レストランの予約、旅行の手配まで対応してくれる点だ。

メッセンジャーの追加機能とすることで、友人に聞くような気軽さでアシスタントに相談できる。すべてを技術に依存しているのではなく、人力と人工知能のハイブリッドだ。やりとりのデータが蓄積されるにつれ、より早く、精度の高い対応が実現されるだろう。

現在ベイエリアの一部ユーザーに対して試験運用中だが、パーソナルアシスタントMが全ユーザー解禁になるのを楽しみにしている人は多い。

この数年で大きく伸びているメッセンジャーアプリがどのように進化するのか、日本の無料対話アプリ「LINE」も含めて注目される。メッセージ機能を超えたメッセンジャーアプリでは中国の「微信(ウィーチャット)」が先行しているが、16年はフェイスブックの猛追が予想される。

(スクラムベンチャーズ・マーケティングVP)

〔日経MJ2016年2月5日付〕

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