2019年2月20日(水)

AED、正しく使って救命
心臓マッサージ、手の付け根使い垂直に/電極パッド、心臓を挟むように貼る

2016/2/5 6:02
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 街のあちこちで見かけるようになった、赤やオレンジのケースに入った自動体外式除細動器(AED)。だが、いざ倒れた人を発見したら迷わず使えるだろうか。戸惑わないためには、日ごろから使い方の手順を知っておくことが大切だ。誰でもできる救命の「いろは」を専門家に聞いた。

東京マラソンに向けた救命講習会でAEDを使った手順を学ぶ(1月、東京都江東区)

東京マラソンに向けた救命講習会でAEDを使った手順を学ぶ(1月、東京都江東区)

「電気ショックを行います。体から離れてください」。1月中旬、東京マラソンに参加するランナーやボランティア向け講習会が都内で開かれた。約1000人がAEDや胸骨圧迫(心臓マッサージ)を体験した。参加した女性(32)は「手順がイメージできるようになった」と話す。

28日で10回目となる東京マラソンでは、これまで7人が心肺停止となったが、全員が社会復帰した。すぐにAEDを使ったからだという。適切に行動すれば効果は大きい。

目の前で人が倒れたらどうすればいいのか。「減らせ突然死プロジェクト実行委員会」の委員長を務める立川病院の三田村秀雄院長は「30秒たっても反応がない場合は、目まいや失神とは違うと判断していい。すぐに救命措置を」と促す。

まずは周囲に助けを求める。人を集めて「あなたは119番通報を」「あなたはAEDを持ってきて」と具体的に頼む。「誰か」では誰も動かないことがあるので必ず指名する。「通報すれば、救急のプロがすべきことを教えてくれる」(三田村院長)ので、落ち着いて呼びかけへの反応の有無など状況を伝えよう。

救急車の到着まで時間がかかる。2014年は全国平均で8.6分だった。倒れた原因が、心臓が細かく震えて血液を全身に送ることができない「心室細動」だった場合、1分ごとに10%ずつ救命率が下がってしまう。すぐ胸骨圧迫を始め、AEDの到着を待とう。

胸骨圧迫とはいわゆる心臓マッサージのこと。姿勢とリズムが重要で、ひじを伸ばし、手の付け根を胸の真ん中の硬い部分に当てる。胸が5センチほど沈むくらい真上から垂直に強く押す。1分間に100~120回のテンポで絶え間なく押し続ける。「童謡の『うさぎとかめ』や『あんたがたどこさ』を少し速めにしたリズムを思い浮かべるといい」(東京防災救急協会の寺井麻美さん)

AEDは蓋を開け電源を入れる。倒れた人の服を上げ、2枚の電極パッドを右の鎖骨の下と左脇腹に貼る。AEDは電極間を電気が通る仕組み。2つのパッドで心臓を挟むようにする。日本光電の東啓子さんは「パッドが重なりそうな子どもには、胸の真ん中と背中に貼ってもいい」と話す。

パッドには大人用と未就学児の小児用がある。小児に大人用を貼っても構わないが、逆は十分な効果が期待できないので避ける。

パッドを貼ると、AEDが心電図を解析する。電気ショックが必要と判断すれば音声で教えてくれる。後はボタンを押すだけ。日本光電の東さんは「次に何をすべきかはAEDが音声で指示するので、それをよく聞いて」と呼びかける。

注意点はいくつかある。解析中とボタンを押すときは、倒れている人の体に触らない。体がぬれている場合は、タオルなどで拭く。アクセサリーや下着ははずし、その上からパッドを貼らないよう気をつける。ショック後も胸骨圧迫を続け、意識が戻ってもパッドはつけたままにしておく。

「AEDを使って助からなかったとしても、法的責任は問われない。電気ショックが必要かどうかは機器が教えてくれる」(三田村院長)。救命は一刻を争う。恐れず使うことが肝心だ。

◇            ◇

■市民が心肺蘇生54% 設置場所に課題も

総務省によれば2014年に心肺停止の状態で発見されたのは約2万5000人。そのうち市民が心肺蘇生したのは54%、AEDを使ったのは約4%だった。

帝京大学の坂本哲也救命救急センター長は「設置場所が分からないことが利用率の低さの一因」と指摘。駅や学校、交番や役所など公共施設、商業施設などにある。日本救急医療財団のサイト上の「AEDマップ」が参考になる。ただ自治体によって普及の取り組みには温度差がある。

公共施設が使えない夜間の対応も課題だ。解決策として注目されているのがコンビニエンスストアだ。

使い方を伝える工夫も広がる。日本循環器学会ではAEDの使い方をドラマ仕立てにした動画「心止村湯けむり事件簿」を公開中だ。

(河尻定)

[日本経済新聞夕刊2016年2月4日付]

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