2018年11月14日(水)

まずは年金資金の運用体制改革が必要だ

2016/1/31 3:30
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公的年金の資金を運用している年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)に、株式への直接投資を認めるかどうかが議論になっている。GPIF側は運用効率を高めるために必要との考えだが、国による企業支配につながりかねないとの反対意見が根強い。

私たちはかねて、高い収益が見込めるかわりに損失の可能性も高まる株式投資を増やすのであれば、それにふさわしい責任ある形にGPIFの組織や運用体制を改革すべきだと主張してきた。

株式への直接投資を検討するに当たっても、まずは体制整備が必要だ。そのうえで、国家権力が企業経営に影響を及ぼさない方法を十分に議論してほしい。

130兆円にも及ぶ公的年金の積立金に関しては、2013年にまとまった有識者会議の提言に基づき、国内債券中心の運用を見直し国内外の株式の比率を高めることが決まった。ただし、現在は株式運用を外部の金融機関に委託して実施している。

GPIFは直接投資をすることによって、委託手数料を減らすことができ、より機動的な運用も可能になると説明する。

一方で株式を売買する際や、議決権を行使するときに、政府の考えや政治的な思惑による介入があるのではとの疑念がぬぐえない。経済界もこの点が最大の問題ととらえている。

有識者会議は運用の見直しと同時に、GPIFの組織改革も提言していた。現在は運用に関する権限が理事長に集中している。これでは不安もあるため、金融の専門家などを集めた経営委員会による合議制を基本とするように求めた。運用見直しはすでに実現したのだから、もう一つの柱である組織改革を急ぐべきだ。

体制が整い、株式への直接投資を検討するに当たっては、徹底した情報開示と説明責任が求められる。どの会社にどれだけ投資し、議決権はどのような方針に基づきどう行使したのかなど、つまびらかにする必要があるだろう。

GPIFの巨額の年金マネーは株式市場で「クジラ」とも呼ばれる。その動向が株価に大きな影響を与えるからだ。クジラを巡るさまざまな臆測だけで株式相場が動くこともある。

直接投資を実施すれば、市場に与える影響はさらに大きくなりかねない。それだけに一層の透明性が不可欠だ。

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